歌祭文(読み)ウタザイモン

デジタル大辞泉の解説

うた‐ざいもん【歌祭文】

近世俗曲の一。死刑・情死などの事件やその時々の風俗をつづった文句を、門付け芸人が三味線などの伴奏で歌って歩いた。山伏錫杖(しゃくじょう)を振り鳴らし、ほら貝を吹いて、神仏の霊験を唱え歩いた祭文の芸能化したもの。上方に始まる。祭文節(さいもんぶし)。→祭文

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大辞林 第三版の解説

うたざいもん【歌祭文】

江戸時代の俗謡の一。芸能化した祭文で、浪花節なにわぶしの源流。初め山伏が錫杖しやくじようを振り法螺貝ほらがいを吹いて神仏の霊験などを語ったが、のちには三味線の伴奏で市井の事件などをいち早く読み込み、その伝播でんぱの役も果たした。でろれん祭文。祭文節。 → 祭文

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精選版 日本国語大辞典の解説

うた‐ざいもん【歌祭文】

〘名〙 近世に行なわれた俗曲の一種。本来の宗教上の祭文に対して芸能化したものを区別していう。修験山伏(やまぶし)の徒が、錫杖(しゃくじょう)を振り、法螺貝(ほらがい)を吹いて、神仏の霊験などを語ったのに始まり、後には市井の事件や風俗を詠み込み、三味線を伴奏とするようになった。「祓(はら)ひ清め奉る」または「敬って申し奉る」に始まり、「敬って申す」に終わるのが型である。祭文節。祭文。
※俳諧・誹枕(1680)下「出し月道の果なる常陸坊〈幽山〉 哥祭文を呼坂の秋〈露沾〉」

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世界大百科事典内の歌祭文の言及

【阿呆陀羅経】より

…明治以降,浪花節として大成する以前,その先行芸能として江戸時代末期から行われていた語りの一種。近世に入り山伏を中心に〈祭文(さいもん)〉が芸能化し,法螺(ほら)貝や錫杖(しやくじよう)を伴奏に面白おかしく聞かせるようになり,次いで三味線を用いての〈歌祭文〉を生む。幕末近くに〈デロレン祭文〉とか〈ちょぼくれ〉〈ちょんがれ〉と呼ばれる祭文語りが輩出するが,阿弥陀経をもじった読経まがいの文句や節で巷談・ニュースまがいの文句を聞かせた〈阿呆陀羅経〉も同種のもので,次代に〈浮連節(うかれぶし)〉を生む。…

【祭文】より

…山伏や願人坊主(がんにんぼうず)がその奉ずる神の本地や縁起を説く祭文や,宗教色の濃い唱導祭文をもって諸国を回遊する一方,当意即妙の諧謔を交えたもじり祭文や若気(にやけ)祭文も喜ばれた。下世話なニュースを口説調に詠み込んだ歌祭文,説経節と祭文を組み合わせた説経祭文,下層民と結びついて命脈を保った本流の門付祭文など江戸中期以降その種類も増えるが,共通する特色は〈抑(そもそも)勧請おろし奉る〉など祭文形式を踏み,錫杖を短くした金杖(きんじよう)や法螺貝を伴奏に使うことである。幕末に生まれた浪花節や口説(くどき)音頭の一種である江州音頭,河内音頭なども祭文の系統を引いたものである。…

※「歌祭文」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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