祝福の言葉ないし寿歌(ほぎうた)の意。能の用語として重要。世阿弥は音曲(謡)に,はじめ祝言,哀傷と二つの対照概念を立てたが,やがて,祝言,幽曲(幽玄音曲の意),恋慕,哀傷,闌曲の五音曲に分類した。世阿弥の女婿金春(こんぱる)禅竹は八音説を立てるが,その冒頭はやはり祝言である。すなわち,猿楽能じたいが,本来祝言をその効用として成り立っているのである。鎌倉期の代表的寺社芸能は〈延年〉と呼ばれ,脇能にもそのパターンを踏襲するものがあり,世阿弥も〈申楽延年〉〈風月延年〉〈寿福増長〉と《風姿花伝》に書いて,この芸の祝言性を強調している。脇能すなわち初番目物が,とくに祝言を本旨とすることは論をまたないが,本格の番組(五番立の番組)は一日の掉尾,切能(きりのう)のあとに,脇能の後段を祝言のためにつける。観世流では,その祝言曲として《岩船》《金札》は後段のみを演ずることにしている。略しては,一曲最終部の祝言性を盛る章句数行を謡い付(つけ)祝言という。
→初番目物 →脇能
執筆者:味方 健
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報
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