ウイグル文書(読み)ウイグルもんじょ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウイグル文書」の意味・わかりやすい解説

ウイグル文書
ウイグルもんじょ

一般的にはウイグル文字 (新ソグド文字) のウイグル語で書かれた各種の私文書,契約書や公文書のたぐいをいう。広義には仏教その他の宗教写本を含む場合もあり,その場合の作成年代は 17世紀末まで下るが,ウイグル人がモンゴル高原からトゥルファン盆地周辺に移動して,その地で9~14世紀の間に作成されたものが圧倒的に多い。 19世紀末~20世紀初頭に各国探検隊が持帰り,現在多く所蔵しているのはドイツ,旧ソ連,イギリス,フランス,トルコ,中国のほか,日本の「大谷文書」にも含まれている。現在なお各国で整理,研究が文献学,言語学,宗教学,歴史学などの分野で進められている。トゥルファン盆地の地主像や奴隷売買の様子,僧侶の社会的地位など住民生活を如実に物語るほか,経済史や政治史の解明にも利用されるものがある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のウイグル文書の言及

【ウイグル文献】より

…中国,新疆ウイグル自治区のトゥルファン(吐魯番),ハミ(哈密),クチャ(庫車)あるいは甘粛省の敦煌などから出土したトルコ語(ウイグル語)で書かれた文献。ウイグル文書ともよばれる。宗教関係の内容をもつ文献が圧倒的多数を占めるが,証文や売買契約書などのいわゆる世俗文書も含まれている。…

※「ウイグル文書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android