エイズボル憲法(読み)エイズボルけんぽう

改訂新版 世界大百科事典 「エイズボル憲法」の意味・わかりやすい解説

エイズボル憲法 (エイズボルけんぽう)

1814年成立のノルウェー憲法。フランスの1791年憲法をモデルとし,三権分立,国民主権,出版の自由などの市民的権利を明記しており,当時のヨーロッパで最も民主的な性格をもつ。選挙権は一定の財産もしくは官吏経験をもつ25歳以上の男子に与えられ,該当者は25歳以上男子の45.5%,全人口の10.3%に達する(当時のフランスの有権者は全人口の0.3%)。1814年までノルウェーは事実上デンマークの属国であったが,ナポレオン側についたデンマークの敗戦により,キール条約によってスウェーデンに譲渡された。このときノルウェーの代表者112名は東部のエイズボルEidsvollに集まり,憲法を制定。スウェーデンはこれを受け入れ,ノルウェーと同君連合を結んだ。王はこの憲法下では議会立法に拒否権をもつにとどまり,ノルウェー人は王権に対して,スウェーデン人自身がその王権に対するよりも高い独立性をもった。憲法制定日5月17日はいまもノルウェー独立を象徴する国民の祝日である。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報