サクロボスコ(英語表記)Joannes de Sacrobosco

改訂新版 世界大百科事典 「サクロボスコ」の意味・わかりやすい解説

サクロボスコ
Joannes de Sacrobosco

13世紀前半のイギリスの数学者,天文学者。生没年不詳。英名はJohn of Holywoodで,サクロボスコ(またはサクロブスコSacrobusco)という名は,彼の出身地ヨークシャーのホリウッドをラテン訳したもの。まずオックスフォード大学で学び,後にパリに出てパリ大学の教師となり,同地に没した。彼は《天球論》《一般計算法》および《教会暦算法》を著した。そのうち最も有名なものは1233年ごろ編まれた《天球論》で,多くをファルガーニーの天文書によっているが,その簡潔な要を得た叙述によって,17世紀前半まで,アリストテレス=プトレマイオス的な天動説宇宙論の基準的教科書として用いられ,西欧ラテン世界の知識人に大きな影響を与えた。16世紀から17世紀にかけて,イエズス会士が西欧の宇宙像を日本にもたらしたとき,その知識の源をなしていたのもこの書である。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android