スポータ(英語表記)sphoṭa

改訂新版 世界大百科事典 「スポータ」の意味・わかりやすい解説

スポータ
sphoṭa

インドの言語論の重要概念。ことばは音声を伴うが,同時に意味を伝える。音声は無常であるが,ことばと意味の関係は固定的である。そこで,文法学派パタンジャリ(前2世紀)は,意味を伝達することばの本体としてスポータ(つぼみ)なるものを想定し,それが音声によって開顕されるとした。この説を受けて,バルトリハリ(5世紀後半)は,スポータは常住不変であるとした。彼は,ことばの本体であるこのスポータは,世界の根本原因,真実在であるブラフマンにほかならないとした。一般に,〈スポータ説〉といえば彼の説を指すことになっている。なお彼は,ことばの基本形態は文であるとした。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のスポータの言及

【文法学派】より

…この発想法は,後にバイシェーシカ学派に受け継がれた。また彼は,意味を伝達するものとしての語の本体をスポータ(語のつぼみ)であるとし,消滅する音声(ナーダ)と完全に区別した。この説は後に5世紀後半のバルトリハリによって形而上学的に展開され,〈スポータ説〉として確立された。…

※「スポータ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android