ナバス・デ・トロサの戦い(読み)なばすでとろさのたたかい

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ナバス・デ・トロサの戦い
なばすでとろさのたたかい

1212年ナバス・デ・トロサNavas de Tolosa(スペイン南部ハエン県)で行われたキリスト教スペイン連合軍とイスラム教徒軍との戦い。1086年のサグラハスSagrajasの敗戦以来、キリスト教スペイン諸国は北アフリカのムラービト朝、ついでムワッヒド朝の軍事攻勢によってすでに1世紀以上も圧倒され続けてきた。こうした趨勢(すうせい)のなかで、1211年に南部国境地帯の戦略拠点を新たに失ったカスティーリャは、翌1212年の夏に反攻を試みた。カスティーリャの訴えと教皇庁の檄(げき)にこたえて同じイベリア内のアラゴンナバラはもとより、ピレネー以北からも諸侯が参集した。だが、西ヨーロッパ勢の大部分は戦闘の前に引き揚げ、7月16日にムワッヒド軍と対峙(たいじ)したのはキリスト教スペイン諸国の連合軍だった。戦闘はまる1日続き、久方ぶりにキリスト教徒軍の圧勝に終わった。この後、まもなくムワッヒド朝が内紛に陥りやがて崩壊したことから、イベリアの南北の力関係は一転して北のキリスト教スペイン諸国に有利となり、13世紀前半におけるレコンキスタ(国土回復戦争)の大躍進につながった。

[小林一宏]

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