日(太陽)と月(太陰)に,火(熒惑(けいわく)),水(辰星),木(歳星),金(太白),土(塡星・鎮星)の五惑星を合わせた七曜(耀とも書く)に,インド天文学における白道と黄道の交点にあたる昇交点の羅(らごう)Rahuと降交点の計都(けいと)Ketuの二つを合わせたものをいう(計都の方は月の近地点だとする解釈もある)。《書経》舜典などに見えるように,七曜はまた七政とも呼ばれ,両方の呼称が並び用いられたが,唐代の密教の経典《宿曜経》などには七曜が使用されている。羅と計都は,日月食現象が黄白両道の交点付近で起こることから,前者を蝕頭神と呼び,後者を蝕尾神とする名称が《七曜攘災訣》(9世紀初)に紹介されている。インドの占星術では羅・計都は他の七曜とともに,人間の禍福吉凶を支配するものとされた。唐代の天文学者の瞿曇悉達(くどんしつた)が718年(開元6)に翻訳したインドの天文学書は《九執暦》と呼ばれたが,この九執は,ナバnavaつまり九と,グラーハgrāhaつまり執(と)る,あるいは曜つまり惑星を示す言葉との合成語ナバグラーハnavagrāhaの意訳であり,九曜と同義語である。
→九星
執筆者:橋本 敬造
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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