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ムラービト朝 ムラービトちょうal-Murābit

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ムラービト朝
ムラービトちょう
al-Murābit

ベルベル人による最初のイスラム王朝 (1056~1147) 。北アフリカとイベリア半島を支配。首都はマラケシュ (マルラーケシュ) 。ヨーロッパではアルモラビド朝 Almoravidsの名で知られている。サハラ砂漠に遊牧していたラムトゥーナ族を中核とする宗教戦士集団によって建国された。第2代君主ユースフ (在位 1061~1106) は,1062年マラケシュを建設してここに首府を定め,アッバース朝カリフの宗主権を認めながら,北方へ領土を拡張した。メクネスフェスタンジールセウタを占領し,91年にはスペインアッバード朝を滅ぼしてイベリア半島南部を支配下に収めた。ユースフの没後,王朝は衰退の傾向をみせはじめ,1147年には首都マラケシュはムワッヒド朝の手に落ちたが,スペインに逃れた一族は 13世紀初めまで余命を保った。

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世界大百科事典 第2版の解説

ムラービトちょう【ムラービト朝 al‐Murābiṭ】

西サハラに興ったベルベル王朝。1056‐1147年。スペイン語ではアルモラビデAlmorávide。遊牧部族であるサンハージャ族の指導者ヤフヤーは,メッカ巡礼の帰途,宗教的情熱にかられ,モロッコの学者イブン・ヤーシーンを説教師として招いた。セネガル河口の小島に建てられたリバート(修道場)で彼の説教を聴いた修道士たち(ムラービトゥーンと呼ばれ,王朝名の起源である)は,やがてジハードを唱え,南下してガーナ王国を滅ぼし(1076),スーダンのイスラム化への道を開いた。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ムラービト朝
むらーびとちょう
al-Murbi

西サハラのベルベル系遊牧民サンハージャ人の建てた王朝(1056~1147)。スペイン語でアルモラビデAlmorvideという。11世紀の初め、サンハージャ人の指導者ヤフヤーは、メッカ巡礼の帰途、チュニジアのカイラワーンでマーリキー学派の法学者アブー・イムラーンと会い、宗教的情熱に駆られてイスラムによる部族民の教化を決意した。アブー・イムラーンが紹介したモロッコの学者イブン・ヤーシーンを連れて故郷に戻ると、セネガル川の河口の小島にリバート(修道所)を建て、イスラムと厳格な禁欲主義によって修道士たち(ムラービトゥーンとよばれ、王朝名の起源)を養成した。彼らはベールをしていたのでムタラッスィムーン(ベールをした人々の意)ともよばれた。
 やがてイブン・ヤーシーンの権威下にジハード(聖戦)を唱え、南下してガーナ王国を滅ぼし(1076)、サハラ以南アフリカのイスラム化への道を開いた。またイブン・ターシュフィーンに率いられた軍隊は北上し、モロッコとアルジェリアの西半分を征服し、首都マラケシュを建設した(1070ころ)。彼はさらにスペインに渡り(1086)、1094年までにスペイン南部アル・アンダルスの征服、支配に成功した。アル・アンダルス支配は、アル・アンダルスの進んだイスラム文化(とくに建築技術)を北アフリカに流入させた。アッバース朝のカリフ権承認、マーリキー学派法学の支持、および土着の異端的諸勢力を消滅させたことは、マグリブ(マグレブ)にスンニー派イスラムによる統一をもたらした。征服が完了し、宗教的情熱を喪失するとともに軍事力も衰え、新興のムワッヒド朝に滅ぼされた。[私市正年]

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世界大百科事典内のムラービト朝の言及

【マラブー】より

…イスラムの浸透に伴い,11世紀ころになると,リバートは内陸部にも建てられるようになったが,その役割は軍事的というよりも,宗教的性格を強めていった。西アフリカに興ったムラービト朝は,そのようなリバートの修道士が建てた王朝である。13~14世紀ころからのイスラム神秘主義の発展に伴い,リバートはスーフィーの修行場であるザーウィヤを意味するようになり,マラブーは聖者を指すようになった。…

※「ムラービト朝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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