宇宙磁場(読み)うちゅうじば(英語表記)intergalactic magnetic field

改訂新版 世界大百科事典 「宇宙磁場」の意味・わかりやすい解説

宇宙磁場 (うちゅうじば)
intergalactic magnetic field

宇宙全体をつらぬく一様な磁場と,銀河間空間に不規則に分布する磁場の総称クエーサー電波銀河など銀河系外電波源が発する直線偏波した電波のファラデー回転現象を観測することによってその存在と性質を推定することができる。ファラデー回転量は,(磁場の視線成分)×(銀河間空間の電子密度)×(電波源までの距離)×(波長2に比例する。赤方偏位などから距離の知られている数百個の電波源について数波長で電波の偏波角を測定し,統計的な処理によって磁場の構造がわかる。銀河間の電子密度が10⁻5cm⁻3であると仮定すると,一様な宇宙磁場の強さは約10⁻9ガウスで,300億光年以上の範囲をつらぬいており,銀経100°,銀緯10°の方向にむいていると思われる。また不規則な銀河間磁場の強さもほぼ10⁻9ガウス程度と考えられている。一様な宇宙磁場の存在は宇宙論的な非等方性を論ずる際に重要である。
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百科事典マイペディア 「宇宙磁場」の意味・わかりやすい解説

宇宙磁場【うちゅうじば】

宇宙全体を一様につらぬいている磁場,および銀河間空間に不規則に分布している磁場の総称。前者は約10(-/)9ガウス,後者もほぼ10(-/)9ガウスほどの強さと推定されている。

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