電子密度(読み)デンシミツド

化学辞典 第2版 「電子密度」の解説

電子密度
デンシミツド
electron density

単位体積当たりの電子数.結晶中の電子密度は,X線回折によって得られる構造因子から推定できる.また,分子の電子密度は,電界放射顕微鏡(FEM)や電界イオン顕微鏡(FIM)で直接的に観察されるようになってきた.しかし,電子密度という用語は,むしろ多電子系の理論計算の一体近似におけるほかの電子からのクーロン場を考慮するときに使われることが多い.また,化学反応に対するフロンティア電子理論が出てきてからは,HOMO(ホモ)LUMO(ルモ)の電子密度が注目されるようになった.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「電子密度」の意味・わかりやすい解説

電子密度
でんしみつど
electron density

単位体積中の電子数で分子軌道法では原子上の電子数。高速荷電粒子物質通過中の電離衝突の確率や,電離損などは,物質の電子密度に比例する。結晶内の電子密度の分布はX線回折により決定される。分子中の特定性質をもつ電子の分布密度をさす場合もあり,特に共役二重結合をなす各原子の位置におけるπ電子の密度をπ電子密度と呼ぶ。

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