性病科(読み)せいびょうか

改訂新版 世界大百科事典 「性病科」の意味・わかりやすい解説

性病科 (せいびょうか)

臨床医学の一分科。性病はそれぞれの疾患により,男性と女性に現れる症状が異なる。淋病では,男性は尿道の痛みや外尿道口からの排膿で気づくが,女性ではおりものの増加があるくらいの軽い症状なので気づきにくい。第1期梅毒の症状である初期硬結は男性の陰茎冠状溝の周囲に生じるのですぐ気づくが,女性は腟や子宮腟部にできるので気づきにくい。さらに軟性下疳や鼠径(そけい)リンパ肉芽腫でも,初期硬結のように病巣が男女により出現しやすい部位が異なる。最近では陰部疱疹,尖圭コンジローマ,クラミディア・トラコマチスによる非淋菌性尿道炎や骨盤内炎症性疾患など,性交ないし類似の性行為により感染する諸疾患が増加しているが,これらもそれぞれ男女により症状が異なっている。このように性病および関連の疾患にかかった際,皮膚科,泌尿器科,婦人科などにまたがっていて,どの診療科を受診すればよいか迷うことがある。このために,男性および女性に関する性病および周辺の諸疾患を中心に診療を一つの科で行うところが性病科である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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