税所氏(読み)さいしょうじ

改訂新版 世界大百科事典 「税所氏」の意味・わかりやすい解説

税所氏 (さいしょうじ)

平安時代以来大隅国曾於(野)郡を本拠とした豪族,在庁官人。税所の検校職を世襲したところから氏名となる。藤原(古くは檜前)姓。1197年(建久8)の大隅国図田帳に曾野郡重富名33丁のほか,同重武名,桑東郷松永名の名主として税所篤用があり,翌年の大隅国御家人交名(きようみよう)には国方14名中の筆頭にみえる。篤用の子篤(敦)満は和田合戦で討死,その弟祐満が跡をつぐが,その子義祐は大隅国大介兼税所職,押領使職,曾野郡郡司職,霧島神社座主・止上(とかみ)神社大宮司職等のほか,薩摩国満家院郡司職,厚智山座主職等を兼帯,勢威をふるった。満家院では惣地頭島津氏や名主比志島氏らと領有権をめぐって子孫の敦秀・敦胤の代まで争った。南北朝時代には畠山直顕方に属して大隅国守護島津氏久に抵抗したが,室町時代に至りしだいに島津氏の進出に圧倒され,守護代本田氏の勢力と交替した。
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世界大百科事典(旧版)内の税所氏の言及

【税所】より

…税所の有力在庁はやがて世襲化し,税所を氏とするものも現れた。常陸や薩摩の税所氏はその例である。【下向井 竜彦】。…

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