五味(読み)ごみ

  • 姓氏

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

仏教で,酸味苦味甘味辛味鹹味 (塩味) の5つの味を意味する。また『涅槃経』には乳味,味,生酥 (しょうそ) 味,熟酥味,醍醐味の五味を説き,牛乳の精製過程で生じるこれらの味のうち最後の醍醐味を涅槃 (究極の理想) にたとえる。また天台教学ではこれらの味を教説深浅にたとえる。

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デジタル大辞泉の解説

5種の味覚。物の味の5種。甘さ・酸(す)っぱさ・辛(から)さ・苦(にが)さ・鹹(しおから)さ。
大般涅槃(だいはつねはん)経に説く、牛乳を精製して順次に生ずる五つの味。乳味・酪味・生酥(しょうそ)味・熟酥味・醍醐(だいご)味で、醍醐味を最高の味として涅槃にたとえる。天台宗ではこれを釈迦1代の教説の順序になぞらえ、五時教に配する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

酸味、苦味(にがみ)、甘味、辛味、鹹味(かんみ)(塩味)の5種の味。これに淡味を加えて六味という。仏教語では、牛乳を精製していって最終的な乳製品ができるまでの味を5段階に分けたものをいう。乳(にゅう)、酪(らく)、生酥(しょうそ)、熟酥(じゅくそ)、醍醐(だいご)の5種の味をいい、最後の醍醐味を最高の味として、仏の涅槃(ねはん)に例える。もと大乗の『大般涅槃経(だいはつねはんぎょう)』の「聖行品(しょうぎょうぼん)」に出、仏の衆生教化(しゅじょうきょうげ)の浅深の次第を表す比喩(ひゆ)として多用される。また、中国天台宗では、仏一代の説法の内容を、浅いものから深いものへと5段階に分類し、これを五味に配当する教判をつくった。

[藤井教公]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① 食物の、甘(あまい)・酸(すっぱい)・辛(からい)・苦(にがい)・鹹(しおからい)の五種の味の総称。〔伊呂波字類抄(鎌倉)〕
※太平記(14C後)三三「十番の斎羹(さいかう)・点心百種・五味の魚鳥・甘酸苦辛の菓子共」 〔礼記‐礼運〕
② 仏語。大般涅槃経で、牛乳を精製する過程で順次に生じる五段階の味、すなわち乳味・酪(らく)味・生酥(しょうそ)味・熟酥味・醍醐(だいご)味の五つの総称。醍醐味を涅槃経に比する。また、天台宗では、五時教に配して、釈迦一代の聖説が説かれた次第順序とする。
※選択本願念仏集(1198頃)「五味者所謂乳酪生熟醍醐是也」 〔南本涅槃経‐二六〕
③ 香道で、香木の香りを①の五味になぞらえていう。
[補注]グルタミン酸の引き起こす旨味も基本味であることが日本で研究されて国際的に認められ、科学的には甘酸苦鹹旨が五基本味となった。辛味は舌の味蕾細胞とは別途の感覚から生じる。伝統的な香道、絵画などでは旧来の五味を用いる。
姓氏の一つ。

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世界大百科事典内の五味の言及

【味】より

…その知覚についてのメカニズムは〈味覚〉の項目を参照されたい。味覚神経が感ずる味は〈しおからい〉〈すっぱい〉〈にがい〉〈あまい〉の4種とされるが,中国や日本では古くからこれに〈からい〉を加えて,鹹(かん)酸苦甘辛を五味と呼んだ。栄西は《喫茶養生記》のなかで,酸味は〈柑子,橘,柚〉など,辛味は〈薑,胡椒,高良薑〉など,甘味は〈砂糖〉など,苦味は〈茶,青木香〉など,鹹味は〈塩〉などだと書いている。…

※「五味」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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