領有権(読み)りょうゆうけん(英語表記)dominion

翻訳|dominion

日本大百科全書(ニッポニカ) 「領有権」の意味・わかりやすい解説

領有権
りょうゆうけん
dominion
dominium
territorial right

国や地域が一定の陸地海域空域を自らの領土領海領空として主権を行使する権利のこと。領有権は二国間の取り決めや国際条約などで定義される。国連海洋法条約では海岸線から12海里(約22キロメートル)を領海とし、海岸線から200海里を排他的経済水域EEZ)と定めている。ある国が他国の領土の一部を租借した場合、借りた国が租借地の統治権をもつが、領有権は貸した国がもつのが一般的である。世界には、領有権が及ぶ範囲が明確に決まっていないケースも多く、豊富な天然資源や港、海峡など軍事・通商上の要衝をめぐって世界各地で紛争やトラブルが起きている。また、領有権争いのある領土を、特定の国・地域が対立国や第三国の承認を得ないまま、軍隊を置くなどして実効支配してしまう場合がある。国際法上の判例で「50年以上実効支配すれば領土として定着する」との見解もある。領有権争いなどの国家間の紛争について、国際司法裁判所は判決による平和的解決を目ざしている。

 日本をめぐっては、固有の領土である北方領土竹島について領有権問題が起こっている。日本政府は、ロシアが実効支配する北方領土について「不法占拠であり、領土問題が存在する」と早期返還を要求している。竹島については韓国が警備部隊を常駐させ、監視所などを設けて実効支配している。これに対し、日本政府は「国際法上根拠のない不法占拠」と主張している。中国台湾が領有権を主張する尖閣諸島(せんかくしょとう)については日本が実効支配しており、「領土問題は存在しない」との立場である。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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