粟津供御人(読み)あわづくごにん

精選版 日本国語大辞典 「粟津供御人」の意味・読み・例文・類語

あわづ‐くごにん あはづ‥【粟津供御人】

〘名〙 近江国粟津(滋賀県大津市)御厨(みくりや)漁師を主とする住民で、朝廷供御を献じてある種の特権を得ていた人びと。平安末期頃から、内膳司(うちのかしわでのつかさ)の供御人として淡水魚を献じ、また、京都において販売する特権を有した。南北朝以降は魚のほかに塩や日用品などを販売する特権を得、魚棚(うおのたな)の公事(くじ)を免ぜられた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の粟津供御人の言及

【粟津橋本供御人】より

…室町中期ごろには,内膳司の機能が御厨子所(みずしどころ)に吸収され,御厨子所別当を兼ねていた公家の山科家による供御人の支配が確立した。室町期に多くの荘園が解体した中で,粟津供御人が繁栄に向かったのは,第1次産業から第3次産業への転換に成功したからで,以後積極的に流通機構の掌握に乗り出していく。1414年(応永21)には他国産の商品・絹布類の販売を始め,81年(文明13)には本所山科家が庭田家との紛議に勝訴し,大津東西浦の供御人も傘下に収めた。…

※「粟津供御人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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