荻野八重桐(読み)おぎの・やえぎり

朝日日本歴史人物事典 「荻野八重桐」の解説

荻野八重桐

生年生没年不詳
江戸中期の上方を代表する若女形の歌舞伎役者。初め荻野,のちに萩野を多く用いた。若女形の荻野長太夫の門弟。濡れ事,女のやつし事,女武道事などを得意とし,宝永7(1710)年の「心中鬼門角」のお染をはじめ世話物,心中物に当たりを取った。正徳2(1712)年の「ひがん桜」でのあて言の長話は大当たりで,早速近松門左衛門の「嫗山姥」の2段目に主人公の名とともに取り入れられ,今日でも「しゃべり山姥」「八重桐廓話」と呼ばれ上演されている。享保期には芳沢あやめ,浅尾十次郎と並んで三都を代表する名女形とされた。正徳(1711~16)以降の上方歌舞伎界で女武道や女荒事などの新分野を開拓していった点が注目される。2代目以後明治まで4代あるが,あまり活躍がなかった。<参考文献>『歌舞伎評判記集成』1期

(北川博子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

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