雑工戸(読み)ざっこうこ

精選版 日本国語大辞典 「雑工戸」の意味・読み・例文・類語

ざっこう‐こ【雑工戸】

〘名〙 令制で、兵部省造兵司および大蔵省典鋳司に属し、鍛冶、甲作、靱作などの手工業技術をもって仕えた集団を戸に組織したもの。一〇月から翌年三月までの間、戸ごとに一丁が勤務する雑戸と、官の必要なときに呼び出される品部の二種があり、前者調役が免ぜられ、後者徭役が免ぜられた。雑工。〔令集解(701)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の雑工戸の言及

【雑戸】より

…大化前代の職業部のうち,その技術の軍事的重要性のゆえに解放されず,令制諸官司に強力に掌握された集団。大蔵省・内蔵寮百済手部(くだらてべ)・百済戸,造兵司雑工戸(鍛戸(かぬちべ)・甲作(よろいつくり)・靱作(ゆぎつくり)・弓削(ゆげ)・矢作(やはぎ)・鞆張(ともはり)・羽結(はゆい)・桙刋(削)(ほこけずり)),典鋳司雑工戸,鍛冶司鍛戸,筥陶司筥戸(はこべ),左右馬寮飼丁および所属不明の鞍作(くらつくり)等からなる。大宝官員令別記によると総数は1603戸を数え,おもに1戸より1丁が年に6ヵ月間または臨時に,所属官司に上番して作業に従事するが,筥戸のように一定額の製品を貢納するものもあった。…

【品部】より

…令制下になると,大化前代の職業部の一部を解放せず,諸官司に配属し特殊な労働や製品の貢納を義務づけた集団を品部とした。この内には図書寮紙戸(しこ)(借品部),雅楽寮楽戸(がくこ),造兵司雑工戸(ざつこうこ)(爪工・楯縫・幄作),鼓吹司鼓吹戸(つづみふえへ),主船司船戸(ふなべ),主鷹司鷹戸(たかかいべ),大蔵省狛戸(こまべ),漆部司漆部(ぬりべ),織部司染戸(そめへ),大膳職雑供戸(ざつくこ),大炊寮大炊戸(おおいべ),典薬寮薬戸(やくこ)・乳戸(にゆうこ),造酒司酒戸(さかへ),園池司園戸(そのへ),土工司泥戸(ぬりへ),主水司氷戸(もひとりへ)等があり,大宝令の官員令別記によると総数は借品部の紙戸を含めて2107戸,品部と明記されないが品部とみなすべきもの380戸,合計2487戸にのぼる。その居住地は畿内とその近国に限られる。…

※「雑工戸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」