雑戸(読み)ざっこ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「雑戸」の解説

雑戸
ざっこ

令時代,大蔵省兵部省造兵司,中務省図書寮などのような特定,寮に属し,手工業などの技術的業務に従事した集団。百済戸,鍛戸(かぬちこ),筥戸(はここ),馬甘(うまかい),甲作(よろいつくり),靫作(ゆぎつくり),矢作弓削(ゆげ)などのあったことが知られ,渡来人系の者も多く含まれていた。おもに畿内に居住し,1年のうち一定期間所属の官司に上番するか,特定の手工業品を貢納し,課役のすべてまたは一を免除された。身分的には良民に準じたが,奈良時代の最盛期以来,良民への解放が行なわれ,平安時代にはその種類も減少し,残った雑戸も農民と変わらないものとなった。(→律令制

雑戸
ぞうこ

雑戸」のページをご覧ください。

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百科事典マイペディア「雑戸」の解説

雑戸【ざっこ】

〈ぞうこ〉とも読む。律令制度で諸官庁に世襲的に隷属した下級技術者。身分は,唐では賤民(せんみん),日本では良民の最下層で渡来人が多い。大和朝廷時代の品部(しなべ)のうち,武器製作・皮革加工・牧畜などの技術をもち,官庁の工房や牧場に交代で勤務したものが,大化改新後もその重要性のゆえに解放されず,唐にならって雑戸と呼ばれ,婚姻・職業・裁判などで身分上の差別をされた。《令集解(りょうのしゅうげ)》によると総戸数1603。744年全雑戸の解放が行われたが,これは聖武天皇の大仏造立(ぞうりゅう)にかかわるとみられる。
→関連項目官戸伴造

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精選版 日本国語大辞典「雑戸」の解説

ざっ‐こ【雑戸】

〘名〙 令制で、諸官司に属し、主として手工業的な特殊技術をもって奉仕する集団。所属する官司に年間の一定期間、または臨時に出向して勤労するか、あるいは特定の製品を納入することを義務づけられていた。そのかわり課役の全部、または一部を免除された。雑戸は品部(しなべ・ともべ)とともに身分的には良民と賤民の中間にあるが、品部よりもやや高く良民に準ずるべきものと考えられていた。奈良時代以降、次第に解放された。
※律(718)名例「凡雑戸・陵戸流者、近流決杖一百、一等加卅、留住三年」

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旺文社日本史事典 三訂版「雑戸」の解説

雑戸
ざっこ

律令制において,特定の官司に属する特殊手工業者の集団
賤民に準じ,品部 (しなべ) より身分は低い。調の代わりに,一定期間所属官庁に勤務して特殊技術の仕事に従事したり,または特定の手工業品を納めた。多くは課役を免除された。

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世界大百科事典 第2版「雑戸」の解説

ざっこ【雑戸】

大化前代の職業部のうち,その技術の軍事的重要性のゆえに解放されず,令制諸官司に強力に掌握された集団。大蔵省・内蔵寮百済手部(くだらてべ)・百済戸,造兵司雑工戸(鍛戸(かぬちべ)・甲作(よろいつくり)・靱作(ゆぎつくり)・弓削(ゆげ)・矢作(やはぎ)・鞆張(ともはり)・羽結(はゆい)・桙刋(削)(ほこけずり)),典鋳司雑工戸,鍛冶司鍛戸,筥陶司筥戸(はこべ),左右馬寮飼丁および所属不明の鞍作(くらつくり)等からなる。

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世界大百科事典内の雑戸の言及

【賤民】より

…官戸,公奴婢,家人,私奴婢は,一般に手工業や農業に従事する労働奴隷ではなく,それらの補助的労働や雑役に従事する家内奴隷であった。手工業部民の一部は律令制では賤民に準ずる身分の雑戸(ざつこ)に編成されたが,8世紀半ば以降解放されていった。賤民は同身分間での婚姻しか認められず,良民との通婚も禁止された。…

※「雑戸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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