デジタル大辞泉
「鍛冶」の意味・読み・例文・類語
かじ〔かぢ〕【鍛‐冶】
《「かねう(金打)ち」から「かぬち」「かんぢ」「かぢ」と変化した語》鉄などの金属を熱して打ち鍛え、種々の器物をつくること。また、その職人。「刀鍛冶」
[類語]鍛冶屋・刀鍛冶
かぬち【鍛=冶】
《「かなう(金打)ち」の音変化》金属を打ち鍛えること。また、その人。かじ。
「倭の―天津真浦をして、まかごの鏃を造らしめ」〈綏靖紀〉
たん‐や【鍛冶】
金属を加熱して打ちきたえ、いろいろな道具をつくること。かじ。
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かじ かぢ【鍛冶】
〘名〙 (「鍛冶」はあて字。「かなうち(金打)」が「かぬち」となり、さらに「かぢ」と変化した語) 金属を打ちきたえて、いろいろの器具をつくること。また、それを仕事とする人。鍛冶屋。鍛冶職人。
※霊異記(810‐824)中「聞けば、唯鍛(カヂ)する音のみ有り〈国会図書館本訓釈 鍛 カチスル〉」
※中右記‐嘉保二年(1095)九月一七日「則召二集仮治等一」
[語誌](1)古くから社寺の創建や、修復に携わり、釘、鎹
(かすがい)などを製作した。興福寺、春日社、
東大寺には、鎌倉初期にすでに鍛冶寄人が活動し、諸国にも給田を保証されたものが散在し、一三世紀初めには後鳥羽院自身が自らに直属する刀鍛冶を組織していたといわれる。
(2)一五世紀後半頃の「高松宮本東北院職人歌合五番本」の鍛冶像には、鞴とともに向槌を振る弟子が描かれている(二人像)。
近世に入ると刀鍛冶だけでなく、
鉄砲鍛冶や庖丁鍛冶、鍬などを作る野鍛冶の活動も盛んになった。
かぬち【鍛冶】
〘名〙 (「かねうち(金打)」の変化した語) 金属を打ち鍛えること。また、その人。鍛冶
(かじ)。上代にはこれを職業とする
鍛冶部(かぬちべ)が豪族に属していた。
※
書紀(720)垂仁三九年一〇月(北野本室町時代訓)「鍛
(カヌチ)名は
河上を喚して、太刀一千口を作らしむ」
たん‐や【鍛冶】
〘名〙 金属を打ちきたえ、器物をつくること。かじ。かぬち。
※
家伝(760頃)上「
貞慧、性聰明好学、大臣異之、以為雖
レ有
二堅鉄
一而非
二鍛冶
一、何得
二干将之利
一」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
鍛冶
かじ
粟田口村の旧字の一。三条通の南裏にあたり、現在の鍛冶町は東西おおよそ二町、南北一町ばかりの範囲を占め、粟田口村の旧字天王山・宮ノ脇・良恩寺畑・池ノ坊・天王下・布畠などを含む。
地名は三条小鍛冶、すなわち粟田口派の刀工の在住した事跡にちなむ。名匠、粟田口宗近の住居は粟田神社の鳥居の北にあったといい(山州名跡志)、吉光の宅地は、青蓮院旧茶室富春亭の東北にあったとも、宗近と同居していたともいうが、いずれも伝説の域をでない。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
鍛冶
かじ
鉄を鍛えて刃物や釘,鉄砲などをつくる職人のこと。早くから刀鍛冶,野鍛冶 (農具をつくる) ,船鍛冶,包丁鍛冶,鉄砲鍛冶などに分れた。近世には領主の御用をつとめ,かたわら庶民のためにも仕事をする専業の鍛冶と,農村で農業を営みながら農具の生産や修理を行う村の鍛冶とがあり,村に鍛冶のいないところでは,専業の鍛冶が村々を巡回して歩くことも少くなかった。野鍛冶の間では,正月の仕事始めに鎌や鍬や剣のミニチュアを打つならわしがある。一般に金山神社を祀り,12月8日にはふいご祭を行い,正月にはふいごに注連縄を張って供物を供えた。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
鍛冶
かじ
金属を鍛えて武器・刃物類・農具などの器具を製造する工人。古称のカヌチは「金打ち」に由来する。律令制下には鍛部(かぬちべ)として現れ,中世以降,製作するものにより刀鍛冶・包丁鍛冶・鋸(のこぎり)鍛冶・農鍛冶などに専門分業化した。城下町に居宅を構え顧客を待つ居職(いじょく)と,村々をめぐり仕事をする出職(でしょく)があり,後者はのちに村に定着し農鍛冶を営んだ。各地に分布する「炭焼長者」の伝説は,遍歴の鍛冶や鋳物師(いもじ)が伝えたものともいわれる。旧暦11月8日には鞴(ふいご)祭を行った。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
普及版 字通
「鍛冶」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
世界大百科事典(旧版)内の鍛冶の言及
【鍛冶屋】より
…金属を打ち鍛え,諸種の器具をつくることを仕事とする人。鍛冶屋の製作する農具や武器は,いつの時代にも人間の生活にとって欠かせない重要な役割を果たしてきた。しかし,鍛冶技術は習得するのが容易でなく,古来,この技術は鍛冶屋が独占的に担ってきた。…
【鍛冶屋】より
…金属を打ち鍛え,諸種の器具をつくることを仕事とする人。鍛冶屋の製作する農具や武器は,いつの時代にも人間の生活にとって欠かせない重要な役割を果たしてきた。しかし,鍛冶技術は習得するのが容易でなく,古来,この技術は鍛冶屋が独占的に担ってきた。…
※「鍛冶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」