一丁(読み)イッチョウ

デジタル大辞泉 「一丁」の意味・読み・例文・類語

いっ‐ちょう〔‐チヤウ〕【一丁】

[名]
豆腐刃物など一つ。→ちょうちょう
距離面積単位。→
料理などの一人前。「エビフライ一丁あがり」
勝負事などの一回。ひと勝負。「もう一丁やろう」
[副]4から》物事を始めるときに言う語。ひとつ思いきって。それでは。さあ。「一丁とりかかるか」
[類語]そうするとそれならそうしたらではするととするととすればそんならさあそれでは

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精選版 日本国語大辞典 「一丁」の意味・読み・例文・類語

いっ‐ちょう‥チャウ【一丁・一梃】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. [ 一 ] ( 一丁 ) 古代、公用の課役にかりだされた人夫一人。ひとりの丁(よぼろ)。転じて、ひとりの男。
      1. [初出の実例]「凡左右京。五畿内国調(みつぎ)一丁輸銭随時増減」(出典:延喜式(927)二四)
    2. [ 二 ] ( 一丁・一挺・一梃 ) ( 「ちょう」は助数詞 )
      1. (すき)、鍬(くわ)などの農具、のこぎり、かんななどの工具、船の櫓(ろ)や櫂(かい)、槍(やり)、銃などの武具、墨、三味線、鼓(つづみ)かみそり、駕籠(かご)、蝋燭、鋏、そろばんなどの一つ。
        1. [初出の実例]「墨〈一挺〉」(出典:多聞院日記‐永正二年(1505)正月二八日)
        2. 「壱人には置(をき)ふるびし十露盤壱丁とらせける」(出典:浮世草子・日本永代蔵(1688)五)
      2. 料理、酒、さかなの一人前。あるいはその分の費用。
        1. [初出の実例]「番頭等賜飯酒、〈略〉雖然為祝着一丁出之云々」(出典:政基公旅引付‐文亀三年(1503)六月一九日)
      3. 書物の裏表二ページ。
        1. [初出の実例]「壱丁(テウ)を壱匁弐分書にさだめ」(出典:浮世草子・元祿大平記(1702)五)
      4. 碁、将棋など勝負事、あるいはそれに類したこと一回。楽器の演奏、男女の交合などにもいう。ひと勝負。一番。一発。
        1. [初出の実例]「御扶持(ふち)人の小鼓打、松林音右衛門を召出され一挺(テウ)御所望」(出典:浮世草子・世間娘容気(1717)四)
        2. 「一丁、もんでやろうか」(出典:笹まくら(1966)〈丸谷才一〉六)
      5. 楊弓、大弓で、銭をかけるときに一〇〇をいう符丁。〔随筆・一話一言(1779‐1820頃)〕
      6. いっちょうぎ(一丁柝)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙 ( [ 一 ][ 二 ]から転じたもの ) あとに勧誘意志などの意を伴って用いる。何かするとき、何かにとりかかるときに言い出す語。ひとつ思いきって。それでは。さあ。
    1. [初出の実例]「『久振(ひさしぶり)で一丁キウと立てなんせ』『よう呑みたがるぜえ』」(出典:歌舞伎隅田川続俤法界坊)(1784)口明)

いっ‐てい【一丁】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 一人の壮年の男子
    1. [初出の実例]「一丁道、〈略〉一生道」(出典:江戸繁昌記(1832‐36)四)
    2. [その他の文献]〔晉書‐慕容俊載記〕
  3. ( 「丁」は「个(か)」の字の篆書(てんしょ)から誤ったもの。「个」は個・箇に同じ ) 一つ。一個。→一丁字(いっていじ)
    1. [初出の実例]「一丁(イッテイ)の字義だも知らず」(出典:読本・南総里見八犬伝(1814‐42)六)
  4. いっちょう(一丁)いっちょう(一町)

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