雨覆(読み)あまおおい

精選版 日本国語大辞典 「雨覆」の意味・読み・例文・類語

あま‐おおい ‥おほひ【雨覆】

〘名〙
① 人や物などが雨に濡れるのを防ぐために、布、油紙などでおおうこと。また、そのおおう物。
※玉塵抄(1563)一五「松が、枝をつらね葉をたれて、雨(アマ)ををいになったぞ」
※鶏(1909)〈森鴎外〉「石田は防水布の雨覆を脱いで」
太刀のさやの峰の方をおおっている覆輪(ふくりん)。股(もも)寄せ。
和船の部材名称。垣立の最上部の縦通材のこと。垣立の柱の上部を覆うというところから生じた呼称。あまおさえ。〔和漢船用集(1766)〕
鳥類の翼の羽毛の一部。風切羽を上下からおおうように生えているもので、翼の前半部にある。生えている部位によって、初列雨覆、大雨覆、中雨覆、下雨覆などに区分される。
徒然草(1331頃)六六「あまおほひの毛を少しかなぐり散らして」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の雨覆の言及

【翼】より

…小翼羽alula(bastard wing)は第1指骨に付着している羽毛で,数枚の小型の羽毛から成る。雨覆(あまおおい)wing covertは風切羽の基部をおおっている羽毛で,翼上面の上雨覆と下面の下雨覆との区別があり,上雨覆は初列雨覆,大雨覆,中雨覆,小雨覆に分けられる。雨覆羽はいずれも皮膚から生じている。…

※「雨覆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」