アエタ族(読み)アエタぞく(英語表記)Aeta

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アエタ族」の意味・わかりやすい解説

アエタ族
アエタぞく
Aeta

フィリピンの,主としてルソン島に住むニグリトの一民族。人口は数千から1万人前後と推定される。カガヤン,イサベラ,アウロウ,サンバレス,カマリネス地域の海岸地帯や近くの山林に小集団をなして居住する移動民である。狩猟採集,漁労を営んでいるが,今日では焼畑農耕を行い半定住的生活をおくるグループもある。パラワンに住む最大のグループはアブタと自称し,キリスト教徒からはドゥマガー Dumagatと呼ばれる。経済生活の基本単位は家族で,木の枝としゅろで造られた簡単な差掛け小屋に住んでいる。双系的な親族組織をもち,特定の政治的指導者はいない。宗教はアニートやその他の精霊に対する信仰で,それらが病気や死をもたらすと信じられている。

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