アエタ族(読み)アエタぞく(その他表記)Aeta

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アエタ族」の意味・わかりやすい解説

アエタ族
アエタぞく
Aeta

フィリピンの,主としてルソン島に住むニグリトの一民族。人口は数千から1万人前後と推定される。カガヤン,イサベラ,アウロウ,サンバレス,カマリネス地域の海岸地帯や近くの山林に小集団をなして居住する移動民である。狩猟採集,漁労を営んでいるが,今日では焼畑農耕を行い半定住的生活をおくるグループもある。パラワンに住む最大のグループはアブタと自称し,キリスト教徒からはドゥマガー Dumagatと呼ばれる。経済生活の基本単位は家族で,木の枝としゅろで造られた簡単な差掛け小屋に住んでいる。双系的な親族組織をもち,特定の政治的指導者はいない。宗教はアニートやその他の精霊に対する信仰で,それらが病気や死をもたらすと信じられている。

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世界大百科事典(旧版)内のアエタ族の言及

【ネグリト】より

…スペイン語で〈小黒人〉を意味し,東南アジアに点々と分布する少数民族の一般名称で,インド洋のアンダマン諸島に約600人,タイ南部と半島マレーシアの内陸に約2500人(セマンSemang族),フィリピン群島に約1500人(アエタAeta族)居住する。これらのネグリトは形質,文化のうえでよく似ているが,その相互関係ははっきりせず,一説には東南アジア古代人の生残りといわれている。言語のうえではマレーシアのネグリトはモン・クメール語族に属するが,他地域のネグリトの言語との類縁関係はない。…

※「アエタ族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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