日本大百科全書(ニッポニカ) 「アカオオカミ」の意味・わかりやすい解説
アカオオカミ
あかおおかみ / 赤狼
red dog
dhole
[学] Cuon alpinus
哺乳(ほにゅう)綱食肉目イヌ科の動物。ドール、シベリアヤマイヌともいう。北はロシア連邦のアムール地方、朝鮮半島、アルタイ山脈から、南はインド、スマトラ島、ジャワ島まで分布する。体長80~113センチメートル、肩高40~50センチメートル、体重10~20キログラム。オオカミに似るがむしろリカオンに近縁で、尾が太く長く、耳の先が丸く、下あごの後臼歯(きゅうし)が1対少なく、裂肉歯(上の第4前臼歯と下の第1後臼歯)が鋭い。体毛は赤褐色で、南方産のものでは尾が黒色である。山地の森林に6~8頭、ときに20頭ほどの群れですみ、シカ類、野生のヤギ、ヒツジ類を主食とし、ガウア、クマ、トラをも襲うことがある。繁殖期は不定、妊娠期間は63日前後で、1腹4~6子、ときに11子ほどを産む。寿命は飼育下で15年の記録がある。近ごろ、北アメリカのアメリカアカオオカミCanis rufusの英名red wolfを直訳してアカオオカミとよぶことがあるが、まったく別のものである。
[今泉吉典]