アクロイド殺人事件(読み)あくろいどさつじんじけん(その他表記)The Murder of Roger Ackroyd

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アクロイド殺人事件」の意味・わかりやすい解説

アクロイド殺人事件
あくろいどさつじんじけん
The Murder of Roger Ackroyd

イギリスの女性推理作家A・クリスティの長編推理小説。1926年刊。さまざまの推理小説ベスト・テンのなかにいつもリストアップされる名作。物語はシェパード医師の手記という形で展開される。村の名士アクロイドが書斎で刺殺された。それより以前、村で起こった婦人自殺と関係があるらしい。村に隠退してたまたま隣家にいた名探偵ポアロが捜査にのりだす……。巧みに張られた伏線やデータは、最後に予想もつかない犯人を指示することになる。その意外性のために、発表直後は本格推理としてフェアかアンフェアかで物議をかもしたこともあるが、いまは名作として定評がある。

[梶 龍雄]

『大久保康雄訳『アクロイド殺害事件』(創元推理文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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