改訂新版 世界大百科事典 の解説
アゴスティーノ・ディ・ドゥッチョ
Agostino di Duccio
生没年:1418-81
イタリアの彫刻家。フィレンツェ生れ。1433年以降生地を離れる。42年,モデナ大聖堂の祭壇浮彫を制作。その後フィレンツェに戻るが窃盗の嫌疑を受けて北イタリアに出奔。リミニでテンピオ・マラテスティアーノの装飾に従事(1449ころ-57ころ)。これは,傭兵隊長で学者であったリミニの君主マラテスタSigismondo Malatesta(1417-68)が自分と愛人イゾッタIsotta degli Attiを記念するためにアルベルティに設計させた建物で,アゴスティーノは大理石の内壁に,キリスト教信仰に対するマラテスタの懐疑と異教趣味を物語る多様な主題を,きわめて薄肉の浅浮彫で表した。表現は平面的で線画に近い。この後ペルージアのサン・ベルナルディーノ小礼拝堂で低浮彫を制作し,フィレンツェに短期間滞在の後ペルージアで没した。
執筆者:鈴木 杜幾子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報