アルベルティ(読み)あるべるてぃ(英語表記)Friedrich August von Alberti

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルベルティ」の意味・わかりやすい解説

アルベルティ
Alberti, Leon Battista

[生]1404.2.14. ジェノバ
[没]1472.4.25. ローマ
イタリアの建築家,人文学者。芸術全般に通じ「万能の人」と形容された。追放中の裕福なフィレンツェ商人庶子として出生パドバボローニャで法律,古典を学び,1428年頃フィレンツェに戻り,ルネサンス芸術運動の渦中に身を投じる。教皇庁の書記を務める間に『絵画論』Della pittura(1436)を著し,1440年代からマルクス・ウィトルウィウスの『建築十書』にならった『建築論』De re aedificatoriaの著述を始める。同書は都市計画を含む市民活動としての建築術,古典的オーダーの活用など後世に広い影響を与えた。建築ではフィレンツェのパラッツォ・ルチェライ(1445~70頃),サンタ・マリア・ノベラ聖堂ファサード(1456~70),リミニテンピオ・マラテスティアーノ(1446~50頃),マントバサン・セバスティアノ聖堂(1460~70),サンタンドレア聖堂(1470頃)などがある。

アルベルティ
Alberti, Domenico

[生]1710頃.ベネチア
[没]1740. ローマ
イタリアの作曲家。歌手およびチェンバロ奏者としても活躍。「アルベルティ・バス」として知られる分散和音による伴奏音型を多用したことで有名。この伴奏音型はゆるやかに推移する和声の上に旋律を浮べるのに適しているため,ハイドン,モーツァルト,ベートーベンらも用いた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルベルティ」の意味・わかりやすい解説

アルベルティ(Leon Battista Alberti)
あるべるてぃ
Leon Battista Alberti
(1404―1472)

イタリアの建築家、著述家。フィレンツェの商人の庶子としてジェノバに生まれ、パドバとボローニャの大学に学んだ。建築、彫刻、絵画に関する多数の論著を残しているほか、哲学、数学、文芸と多方面にわたる深い研究によってルネサンス・ヒューマニズムを代表する一人である。美術家としては建築の設計に優れた業績を残した。リミニのテンピオ・マラテスティアーノ(1446~1455)は、既存の小聖堂を領主マラテスタ家の霊廟(れいびょう)に改修したもので、古代ローマの建築様式が活用されている。フィレンツェのパラッツォ・ルチェライ(1446~1451)の壁面構成にも古代ローマの建築を応用し、新しい外観効果をみせている。同市のサンタ・マリア・ノベッラ聖堂正面のデザイン(1456~1470)は、その後建てられた各地の聖堂の手本とされた。

[濱谷勝也]


アルベルティ(Rafael Alberti)
あるべるてぃ
Rafael Alberti
(1902―1999)

スペイン詩人カディスに生まれる。民衆的なテーマと詩型をもつ処女作『陸の船人』(1924。国民文学賞)は彼の名を一躍高めた。のちヨーロッパの前衛的な手法を試み、現代生活をモチーフにした『石灰と石塊』(1929)、意識下の混沌(こんとん)の世界を照射した代表作『天使たち』(1929)を発表した。彼の政治的関心は深く、内戦では人民戦線側の闘士として社会派の詩を武器に知識人の先頭にたった。1939年アルゼンチン、イタリアに亡命。戦後の作品に、故国へのやみがたい郷愁を基調にした『はるかに生きるものへの復帰』(1952)、『海の時』(1953)などがある。1977年スペインに帰る。ほかに戯曲『プラド美術館の戦いの夜』(1956)、回顧録『失われた木立ち』(1949、改訂版1987)など。1983年セルバンテス賞受賞。

[有本紀明]

『『世界の文学37 現代詩集』(1979・集英社)』『『世界名詩集大成14 南欧・南米篇』(1960・平凡社)』


アルベルティ(Friedrich August von Alberti)
あるべるてぃ
Friedrich August von Alberti
(1795―1878)

ドイツの鉱山地質学者。シュトゥットガルトに生まれ、郷里の町で鉱山学と経済学を学ぶ。1815年ザルツの製塩所に勤め、1820年にはフリードリヒシャルの岩塩鉱山の堅坑(たてこう)掘進に成功して監督官に任命され、1852~1870年には同鉱山の支配人を勤めた。その間ドイツのトリアス紀(三畳紀)の地層について詳細に研究し、1834年には『ブンター砂岩、ムッシェルカルクおよびコイパー層とこれらの地層群について』と題する論文を公表し、これらの地層をトリアス系(三畳系)と命名した。この名称は今日でも中生代の年代区分の単位として使用されている。

[大森昌衛]

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