出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…吉宗は1720年(享保5)耳そぎ,鼻そぎの刑に代えて採用したが,これには中国の明・清律の刺字(しじ)の影響がある。同年に始められた敲(たたき)刑とともに,窃盗罪に対する刑罰として,《公事方御定書》以後,幕府法上最も用いられた刑種であった。庶民に適用されるもので武士には科さず,また単独に科す場合のほか,敲刑あるいは追放刑と併科した。…
…。窃盗罪は,財産犯とくに利欲犯,困窮犯の典型的なものであり,その発生件数も刑法犯のなかではつねにトップにあり,業務上過失致死傷罪(211条)を除く刑法犯の年間認知件数の実に80%を超える割合を示している。 窃盗罪の対象は,他人の財物であるが,自己の財物でも他人の占有に属し,または公務所の命により他人の看守する物であるときは他人の財物とみなされる(242条)。…
…なぜなら,相手のすきをねらってこっそり財産権を侵害するから,著しく社会正義に反するとみなされたからである。アングロ・サクソン法では,盗みの初犯は片方の耳そぎ,二犯はもう一方の耳そぎ,三犯になると〈切り落とす耳がないので〉絞首刑であったし,中世ドイツの法書《ザクセンシュピーゲル》でも3シリング(牧羊犬,イノシシ,1歳豚各1頭に相当)以上の窃盗は絞首刑であった。 近世社会になると,〈暴力犯から窃盗犯へ〉というシェーマが示すとおり,犯罪量の分布に顕著な違いがみられるようになる。…
…私有の観念の発生とともに古くからあった行為であろうが,さまざまな社会の中で,どのような行為が犯罪とされ,またどのように罰せられるかは,その社会や文化のあり方と深くかかわっているといえる。 なお盗みをめぐる現在の法律上の問題については,〈窃盗罪〉〈強盗罪〉〈横領罪〉の項を参照されたい。
【盗みをめぐる習俗】
盗みという行為がどう扱われるかは,その社会の〈所有観念〉と深くかかわりをもつ。…
※「窃盗」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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