日本大百科全書(ニッポニカ) 「アタマバエ」の意味・わかりやすい解説
アタマバエ
あたまばえ / 頭蠅
big-headed flies
big-eyed flies
昆虫綱双翅(そうし)目ハエ群アタマバエ科Pipunculidaeのハエの総称。従来はアタマアブ科とよばれた。体が細く黒っぽいハエで、頭部はほぼ球形で大きく、大きな複眼によって占められ、頭部の幅は胸部よりも広い。触角は短小。はねは長大で透明、翅脈と縁紋は黒褐色。第5径室(けいしつ)の末端は著しく狭くなる。脚(あし)は細いがじょうぶで、各腿節(たいせつ)はやや太く、その下縁には小突起が並んでいる。雄の交尾器は横に向き、雌の産卵管は鋭い錐(きり)状で、腹面に折り曲げている。成虫は草間や林間でみられ、空中に、飛びながら静止するのが観察される。幼虫は、ウンカ、ヨコバイ、カメムシ類に寄生するので、農業上益虫とみなされる。
[伊藤修四郎]