アデノシンデアミナーゼ欠損症

内科学 第10版 の解説

アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症(プリン・ピリミジン代謝異常症)

(3)アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症
臨床症状・病態
 重症の先天性免疫不全症である.常染色体性劣性遺伝形式をとる.生後1週間から2,3カ月に鵞口瘡肺炎,下痢,発育不全などをきたし,原因療法をしなければ2歳までに感染症にて死亡する.ADAは,アデノシンおよびデオキシアデノシンの分解経路で脱アミノを行いイノシンとデオキシイノシンに変換する.これが欠損することによりアデノシンが蓄積し,アデノシンはdATPに変換され増加する結果,リボヌクレオチド還元酵素の阻害が起こる.このために,DNA複製が障害される.免疫担当細胞は,DNA複製障害の影響を受けやすい.この酵素が欠損するとT-cell,B-cellともに分化,活動性,機能が損なわれ,SCID(severe combined immuno-deficiency)となる.自己免疫や神経障害,肝機能障害を合併することもある.
診断
 赤血球,白血球でADA酵素の欠損を証明する.
治療
 骨髄移植,酵素補充療法,遺伝子治療がある.酵素補充療法は,ウシADAにポリエチレングリコール付加したものを週に1~2回の筋肉注射を行う.遺伝子治療は,患者骨髄細胞あるいは臍帯血レトロウイルスに組み込んだヒトADA遺伝子を導入し,患者に戻すものである.[田中あけみ]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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