改訂新版 世界大百科事典 「アトマイズ粉末」の意味・わかりやすい解説
アトマイズ粉末 (アトマイズふんまつ)
atomized powder
金属または合金の溶湯をるつぼ底部の小孔から流出させて細流とし,これに高速の空気,窒素,アルゴン,水などを吹き付けると,溶湯は飛散,急冷凝固して粉末となる。このような粉末製造法をアトマイズ法といい,得られる粉末をアトマイズ粉末という。アトマイズ法は合金粉末を作るのに最適の方法であり,炭素鋼,ステンレス鋼,高速度鋼,スーパーアロイ,ジュラルミン,チタン合金などの各種合金粉末をこの方法によって作ることができる。アトマイズ合金粉末の各粒子の金属組織は,粉末が急冷凝固されているために,均一微細である。そこでこの粉末を粉末冶金によって緻密(ちみつ)化して得られる合金の組織も均一微細となり,合金の性質は,溶解・鋳造法で得られる合金よりも一般に優れるといわれる。ただし粉末または合金の酸素量をできるだけ少なくすることが肝要とされる。
執筆者:林 宏爾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報