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粉末冶金 ふんまつやきんpowder metallurgy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

粉末冶金
ふんまつやきん
powder metallurgy

粉末状の金属合金,金属化合物で溶製に適しないものを焼結成形する技術。粉末の製造コストが高く,製品の大きさが限られ,また加工性が悪いなどの難点はあるが,難溶性,難加工性の材料の成形ができ,溶解による不純物汚染がなく,複合金属材料の製造が可能,ネットシェイプに成形でき,また原料歩留りがよいなどの長所があり,従来の加工技術と競合しつつ応用分野は拡大している。粉末原料の調製法は多様で,機械的粉砕,溶融噴霧,蒸着,微粉化合物の分解還元,電解物の粉砕などがある。原料粉末はよく混和してプレス型に入れ,ピストン型パンチで加圧成形し,同時または後段で加熱焼結するのが普通であるが,液圧による特殊成形法もある。プレス型は耐熱鋼,炭化物工具,高温では黒鉛を用いる。加熱炉は諸種の電気抵抗炉が普通であるが,焼結体自体を抵抗体として通電する場合もある。炉の雰囲気は真空,水素,不活性ガス,アンモニアなどを材料により選択する。現在もっぱら粉末冶金が用いられる分野は次のとおりである。 (1) 高融点金属 タングステン,モリブデン,タンタル,ニオブ,ジルコニウム,トリウム,超硬合金など。 (2) 高純度金属 高周波用純鉄圧粉磁心,無酸素銅など。 (3) 複合金属材料  SAP (→アルミニウム合金 ) ,複合ケルメットウラン複合材。 (4) 多孔質材料 含油軸受金属焼結フィルタ,金属パッキン材,高周波用空隙入り圧粉磁心など。しかし現在は上記の特殊分野だけでなく,電気接点,各種歯車・ブシュなどの機械部品,その他の普通製品の製造に粉末冶金の技法が広く用いられている。

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デジタル大辞泉の解説

ふんまつ‐やきん【粉末冶金】

金属の粉末を圧縮成形し、焼結して製品を作る加工法。

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百科事典マイペディアの解説

粉末冶金【ふんまつやきん】

金属粉末をプレスで加圧成形したのち,その金属の融点以下の温度で加熱焼結して,製品とする加工法。焼結は酸化を防ぐため水素中,真空中などで行う。初めは白金,タングステンなどの高融点金属塊の製造に利用され,のち超硬合金の製造法として確立された。
→関連項目純鉄塑性加工物理冶金

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世界大百科事典 第2版の解説

ふんまつやきん【粉末冶金 powder metallurgy】

金属粉末の製造および金属粉末の圧縮と焼結による金属製品の製造に関する技術をいう。広義には,粉末として金属間化合物粉,金属非金属間化合物粉,非金属粉なども含める。粉末から製品を作る一般的な工程は以下のとおりである。(1)2種以上の粉末を用いる場合はそれらの粉末を混合する。(2)粉末を加圧圧縮して成形体(圧粉体)を得る。(3)成形体を主成分の融点以下の温度で加熱(焼結)することにより,所望の性質をもった固体(焼結体)を得る。

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大辞林 第三版の解説

ふんまつやきん【粉末冶金】

金属の粉末を加圧成形し、焼き固めて金属製品をつくる方法。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

粉末冶金
ふんまつやきん
powder metallurgy

金属粉やその化合物の粉末を高温に加熱すると焼き固まることを利用して独特な性質をもつ材料をつくったり、一定の形の製品をつくる加工技術。溶かして鋳込んでつくるのが困難なタングステンなどの融点の高い金属、タングステンカーバイドのような超硬工具合金、金属と酸化物のように互いに溶け合わないものの均一な混合物である複合合金、油などを漉(こ)すのに用いる金属フィルターや給油の必要のない含油軸受などの多孔質材の製造に応用されるほか、自動車その他の機械の歯車のように小型で形のやや複雑な部品の大量生産に適している。また、圧延や線引きが困難な材料の成形加工や、結晶粒が細かくむらのないものが得られるので磁石や磁心などの製造にも好んで応用される。
 歴史的にみると、中世以前には鉄や金、銀、白金はすべて粉末の状態から塊がつくられた。19世紀初頭の産業革命時には、化学工業用の大きな白金鍋(なべ)や貨幣をつくるのに応用された。近代的な粉末冶金法は1910年にクーリッジが電球用のタングステンフィラメントをつくるのに成功したときに始まるとされている。また、この焼結タングステンを細い線に延ばすのに使うダイスという硬い工具にダイヤモンドが多用されていた。それにかわるより安価な材料として炭化タングステンを金属コバルトで結合した超硬合金がつくられ、それが大きな成功を収めるとともに、粉末冶金はさまざまな工業材料の製造に応用されるようになった。
 製造工程は、原料粉の種類やつくるものの使用目的により異なるが、一般的には〔1〕製粉、〔2〕混合、〔3〕圧縮成形、〔4〕焼結の順である。製粉すなわち粉の作り方は現在多種多様な方法が行われているが、方法の相違によってできる粉の性状も大いに異なり、それをその後の工程で適宜調整するのが粉末冶金技術の眼目である。混合は、2種以上の粉末や粒形および粒度の異なる粉末を混ぜて用いるときに、原料粉末を均質にして次の圧縮成形や焼結工程における操業を安定化し良質の製品を得るために行う。圧縮成形工程では一般に金型に粉末を充填(じゅうてん)して上下のポンチで圧力をかけ、圧粉体あるいはグリーンコンパクトとよばれる成形体をつくる。圧粉体は粉末粒子が互いに密着し十分な強さをもつことが必要である。長い丸棒や管状の圧粉体をつくるには、ゴム袋などに粉末を詰めて油などを満たした高圧容器中で静水圧をかけて圧縮成形する。この成形法はラバープレス法とよばれる。また、粉末を圧延ロールで直接的に圧延して長尺の薄い板状の圧粉体を成形する方法もあり、これは粉末圧延法とよばれる。
 圧粉体は粉末粒子間の密着は十分でもまだ原子的な結合はせず、もろい。そこで、これを高温で焼き固めて十分に強く、目的の性質をもつものにするのが焼結である。焼結の条件としては、焼結温度や焼結時間および焼結炉内のガス雰囲気がもっともたいせつであり、これらの条件は粉末の種類や最終製品の使用目的に応じて細かく調節される。圧縮成形と焼結とをともに行う方法として、型の中に詰めた粉末を加熱しながら圧縮するホットプレス法や、高温高圧のガス容器中で圧縮成形する熱間静水圧プレス法があり、化合物粉やセラミック粉のように焼き固めにくい粉末の成形に応用される。また、一端に小孔のあいた金型に詰めた粉末を圧力をかけて押し出し、棒状の成形体をつくる粉末押出し法や、軽く焼き固めたスポンジ状のもの(プレフォーム)を高温で鍛造し、緻密(ちみつ)で強い成形体をつくる粉末鍛造法などがある。このようにしてつくられたものは焼結体とよばれる。焼結工程のあと、用途に応じてふたたび圧縮と焼結とを繰り返してより緻密で強いものにしたり、目的の寸法に仕上げるため寸法矯正や切削加工を施す場合もある。鉄焼結体の場合には、水蒸気中で加熱して表面に酸化鉄の薄い皮膜をつくり、錆(さ)びにくくかつ摩耗しにくくする。[渡辺龍三]

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