アパシー症候群

六訂版 家庭医学大全科 「アパシー症候群」の解説

アパシー症候群
(こころの病気)

 アパシーとは無気力、無関心を意味する外国語です。ちなみにシンパシー共感を意味します。この言葉がいわれ出したのは、1970年代の後半、若者による学園紛争が一段落したころ、キャンパス内で「しらけ」といった現象が出現し、ミーイズム(自己中心性)がはびこり出した時期と一致します。「五月病(ごがつびょう)」のなかにも、これと重なるものがあります。

 その発生は一種の「虚脱(きょだつ)状態」として説明されています。受験競争を勝ち抜いた戦士が、次の目標を見いだしかねて、無気力におそわれるといった筋書きです。なかには不登校や引きこもりに陥る人も多くいます。

 このように説明すると、状況の結果やむをえない状態といえそうです。しかしよく観察すると、このような状態に陥る人たちは、ハングリー精神に欠けている、価値の多様性に対応できない、甘えや依存心が強いなどといった面を、以前からもっているといわれています。したがって治療は、こうした弱点克服・補強する視点で考えられるべきです。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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