重いものを運搬または移動するときに使用する円筒状の道具。紀元前から、丸い棒を利用すると重いものを運搬する作業がきわめて楽になることが知られていた。地面に数本の丸太を並べて置き、その上に乗せて引っ張れば、丸太は回転し、わずかな力で重いものを動かせる。ころがり摩擦が滑り摩擦よりはるかに小さいことを利用した1本の棒は、ころとよばれて広く使用されるようになった。ピラミッド、オベリスク、バベルの塔などの建設にも大きな石を運搬するのにころが使用された。
この丸太はやがて車輪へと発達した。丸太を輪切りにした車輪の中心に軸を取り付け、その上に車台を乗せた荷車が運搬用に使用されるようになった。初期の木製の車は完全な円形ではなく、それほど堅くもなかったが、やがて車輪・車軸・車台なども十分な強度をもつように改良され、運搬能率は向上した。車輪は急速に改善され、牛や馬に引かせるようになり、運搬能率は向上した。紀元前2000年ごろスポークのついた大きな車輪が使用されるようになった。エジプト、メソポタミア、ギリシア、中国などで使われたこの新式の車輪は、一枚板の車輪よりも軽くて機動性に富み、凹凸の激しい道路でもぐあいよく回転した。車輪はさらに鋼鉄製、周囲にタイヤをつけたものなどに発展し、機関車、自動車などに利用され今日に至っている。
この原理によるころ軸受は、金属製が18世紀後半から水車・風車・汽船などの軸に使われ、19世紀中ごろから精密加工した鋼その他の合金製ころ軸受(ローラーベアリング)が発明され、摩擦と潤滑の力学を発展させた。円柱状の金属製ころを多数並べたローラーコンベヤーは、工場などで製品・半製品を運搬するのに用いられている。乗せた品物を手で押して、ローラーの上を滑らせて移動させたり、ローラーを並べたコンベヤーに傾斜をつけ、品物の自重で動くようにしているものもある。
軸を支える軸受で、回転時の摩擦を少なくするために、ボールベアリングのボールのかわりにころを入れたローラーベアリングも広く使用されている。重荷重の場合にはころを非常に細く針状にしたニードルベアリングが使われる。
[中山秀太郎]
『W・オーエン、E・ボーエン著、中山秀太郎訳『車と文明』(1977・タイムライフブックス)』
ドイツのテノール歌手。ベルリンに生まれる。祖父のワルター・コロWalter Kollo(1878―1940)、父のウィリー・コロWilli Kollo(1904―88)は、ともに成功したオペレッタ作曲家であった。オペレッタやライト・ミュージックから出発したルネは、正規の音楽教育を1958年まで受けたことがなかったが、ベルリンでエルザ・バレーナElsa Verenaに65年まで師事。
同年ブラウンシュワイクでオペラ・デビューを果たした。ついで67~71年ケルンのオペラ劇場においてリリカル・テノールの主役を務める。69年のバイロイト音楽祭における『さまよえるオランダ人』への出演を皮切りに、ワーグナーやリヒャルト・シュトラウスのオペラに多数出演。70年代から80年代にかけては世界各地の劇場に招かれ、ミラノ・スカラ座ではシュトラウス『アラベラ』、ウィーン国立歌劇場でワーグナー『パルジファル』に出演したほか、ザルツブルク音楽祭、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場『ローエングリン』などに出演している。
ワーグナー歌手として有名だが、声の質としては比較的軽いのが特徴。また、ドイツ語圏の地域ではオペレッタのスターとして知られ、70年代には『チャールダーシュの女王』(カールマン)、『ほほえみの国』(レハール)、『ウィーン気質(かたぎ)』(ヨハン・シュトラウス(子))などの舞台にも出演した。日本での初公演は87年(昭和62)、ベルリン・ドイツ・オペラにおける『ニーベルングの指環(ゆびわ)』のジークフリート役であった。以後、88年のバイエルン国立歌劇場、89年(平成1)ウィーン国立歌劇場との来日公演でも得意なワーグナーを披露している。シリアスな役も陽気な役も人間味に溢れた洗練された歌唱と演技で繰り広げ、熱狂的なファンも多い。また歌曲の作曲のほか80年代後半からはオペラの演出を手がけるなど、多彩な活動を行う。
[小沼純一]
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…今日ではアンダルシア地方の民俗舞踊の影響でカスタネットを打ち鳴らすものが多くみられる。 民俗舞踊ではバルカン地方一帯にみられるコロがある。名称は地方によって少しずつ異なるが,たいていカップルで体形を作って踊られる。…
…ボスニア・ヘルツェゴビナなどでは,金貨や銀貨を装身具に使用している。輪舞コロを踊ると,涼しい音色を響かせる。
[民族料理]
スロベニアはオーストリア風の味つけで,あっさりしたものが多い。…
※「コロ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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