虚脱(読み)きょだつ

日本大百科全書(ニッポニカ)「虚脱」の解説

虚脱
きょだつ

失血、外傷、火傷、重症の伝染病、中毒などによって、血液循環に急激な障害がおこり、蒼白(そうはく)、冷汗、チアノーゼ、体温低下、血圧低下、拍が速くかつ微弱となるなど、生体が著明な脱状態に陥った場合をいう。また、種々なストレスを受けたとき、急激な全身性の末梢(まっしょう)循環障害を生ずる状態を意味するショックと同意義に使われることもある。ショックには、いわゆる脳貧血による失神のように、ショックによって反射的に生ずる一次性のショックと、出血、火傷の場合のように、ストレスから症状が現れるまで数十分から数時間を要する二次性ショックとが区別されている。

 肺などの臓器が著明に収縮する場合には、肺虚脱ということばが用いられるが、これは肺組織内に空気が入っていない状態のことである。また肺結核症の空洞を縮小させる療法として、肺全体を収縮させる虚脱療法というのがあるが、これらの場合の虚脱は、内臓が部分的に異常な収縮をするという意味である。

[渡辺 

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精選版 日本国語大辞典「虚脱」の解説

きょ‐だつ【虚脱】

〘名〙
① 体が弱って体力がなくなり死にそうになること。医学的には、内出血あるいは腹部に充血しすぎて主要臓器から血液が減少したために起こる、急激な生命の危険状態をいう。脈は弱く速くなり、呼吸はせわしくなり、意識障害が起こる。
※七新薬(1862)一「心悸・戦栗・苦悶呼吸困難・神力虚脱して遂に斃る」
② ぼんやりとして、何も手につかないこと。気が抜けて、ぼんやりしている状態。
※レイテの雨(1948)〈大岡昇平〉「この俘虜がやはり持ってゐた虚脱のマスクの下に彼の境遇性格才能を想像することは出来る」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「虚脱」の解説

虚脱
きょだつ
collapse

急激な血液循環障害によって血液が減り,極度の脱力状態に陥ることをいう。脈は小さく速く,冷汗が出て不安感を覚え,血圧および体温は下降し,呼吸は浅く促迫し,皮膚は蒼白で,チアノーゼや意識障害が起る。輸液輸血,強心剤,中枢興奮剤などが奏功すれば救命できる。高度の失血,内出血,中毒,火傷,低血糖,過敏症などに伴って起る。

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デジタル大辞泉「虚脱」の解説

きょ‐だつ【虚脱】

[名](スル)
体力を消耗したり、急速な意識障害をきたしたりした状態。失血・中毒・心臓疾患などで血液循環が著しく障害されたために起こる。
体力も気力も失せて、ぼんやりとして何も手につかないようになること。「ショックのあまり虚脱して座り込む」「虚脱感」「虚脱状態」
[類語]放心自失うつけ落胆がっかりがっくりげっそり失望絶望失意幻滅脱力・失墜感・気落ち気抜け拍子抜け力抜け腑抜け力落とし意気阻喪意気消沈しょんぼりぽつねんと悄然しおしおすごすごしょぼしょぼしょぼくれるしょぼたれるしょぼんとしゅん

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百科事典マイペディア「虚脱」の解説

虚脱【きょだつ】

生体が外部からの強い刺激または疾病のため,急性に血液循環がはなはだしく障害され,全生活機能が低下した状態。体温と血圧は低下し,呼吸は浅く促迫し,脈拍の増加と細小を示し,皮膚蒼白(そうはく),冷汗,チアノーゼ,意識喪失などの症状を呈する。→ショック

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