日本大百科全書(ニッポニカ) 「アベルチェンコ」の意味・わかりやすい解説
アベルチェンコ
あべるちぇんこ
Аркадий Тимофеевич Аверченко/Arkadiy Timofeevich Averchenko
(1881―1925)
ロシアのユーモア作家。クリミアの商家の出身。ユーモア雑誌『サチリコン』同人を経て、1913年から『新サチリコン』編集長。マヤコフスキーらの協力も得て、1918年の廃刊まで、同誌をロシア風刺ユーモア文学の拠点とした。邦訳された『狼のシューバ』など多くの短編、笑劇があり、作品集『愉快な牡蠣(かき)』は二十数版を重ねた。革命後パリに亡命、同地で書いた『革命の背に一ダースのナイフ』は「怒り狂う白衛軍人」の立場から書かれた「才能ある書物」とレーニンに評された。1926年には旧ソ連で文集『楽座ねずみの手記』がメイエルホリドの序文付きで刊行された。
[江川 卓]