日本大百科全書(ニッポニカ) 「アポロウスバアゲハ」の意味・わかりやすい解説
アポロウスバアゲハ
あぽろうすばあげは
Apollo
[学] Parnassius apollo
昆虫綱鱗翅(りんし)目アゲハチョウ科に属するチョウ。アポロチョウまたはアポロウスバシロチョウともよばれることがある。ヨーロッパから中国西部にかけて分布し、南部から中部ヨーロッパでは750~1800メートルの亜高山帯に生息するが、北ヨーロッパではより低標高の山地に産する。ドイツ中央山地、チェコ、スロバキア、デンマークでは絶滅した。イギリスには本来分布しない。はねの開張は75ミリメートル内外。日本のウスバアゲハ(別名ウスバシロチョウ)に似ているが、後ろばねの表面に黒色環で囲まれた2個の大形の赤色眼状紋がある。年1回の発生で、7~8月に出現する。幼虫の食草はベンケイソウ科植物である。また朝鮮半島北部、中国東北部に分布するオオアカボシウスバアゲハは、本種に近縁の別種である。種名のアポロapolloは、ギリシア神話に出てくる美青年の神の名に由来する。
[白水 隆]