日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウスバアゲハ」の意味・わかりやすい解説
ウスバアゲハ
うすばあげは / 薄羽鳳蝶
薄羽白蝶
[学] Parnassius glacialis
昆虫綱鱗翅(りんし)目アゲハチョウ科に属するチョウ。ウスバシロチョウともよばれるが、シロチョウ科の種ではなく、その名は適当ではない。北海道、本州、四国に分布し、九州には生息しない。山間の村落の周辺、林縁の草地に多く、緩やかに飛ぶ。はねの開張50~65ミリメートル程度。アゲハチョウ科のチョウとしては、例外的にはねの形は丸く、尾状突起もない。はねの地色は白色、雌でははねがやや透明となり、黒みを帯びることがある。1年に1回発生し、温暖な地域では4月下旬から6月下旬、本州の高地や北海道などの寒冷地では6月中旬から7月上旬ごろに発生する。幼虫の食草はムラサキケマン、ヤマエンゴサクなどのエンゴサク科の植物。卵の状態で越冬する。同属の近似種ヒメウスバアゲハ(別名ヒメウスバシロチョウ)は、日本では北海道の特産種で、ウスバアゲハに酷似しており、その区別はむずかしい。
[白水 隆]