日本大百科全書(ニッポニカ) 「あも」の意味・わかりやすい解説
あも
「あんも」ともいい、餡餅(あんもち)の略。安永4年(1775)刊の『物類称呼(ぶつるいしょうこ)』には、餅を関西であも、江戸では餅の小児ことばとあるが、あんぴん、あんころ餅と称されるものが「あも」本来の姿である。1629年(寛永6)6月5日、落語の祖といわれる安楽庵策伝(あんらくあんさくでん)(京都・誓願寺の僧)の催した茶会でも、茶菓子に餡餅が使われたが、江戸中期以降は茶屋掛けの小店で商われ、家庭でも折々につくられる庶民の餅菓子となった。滋賀県大津市の叶匠寿庵(かのうしょうじゅあん)は、丹波大納言(たんばだいなごん)の小豆(あずき)餡で求肥(ぎゅうひ)をくるんだ風雅な棹物(さおもの)の「あも」を名代(なだい)菓子としている。
[沢 史生]