あんびん餅(読み)あんびんもち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「あんびん餅」の意味・わかりやすい解説

あんびん餅
あんびんもち

埼玉県熊谷(くまがや)市栄寿堂の名代(なだい)菓子で大福餅一種。餡(あん)は薄塩味のつぶし餡で、日もちはしない。姿は普通の大福餅の2倍以上もある。『嬉遊笑覧(きゆうしょうらん)』によると、「あんひんは餡餅の音なり」とある。また「はらぶと餅」について、「皮薄くして餡は赤小豆(あずき)に塩のみ入りて砂糖ケなく、ただ大につくりたるものなり。大福餅ともいう。近ごろまでもありしが、いまは絶えたり」とあるが、あんびん餅はこのはらぶと餅のことで、『嬉遊笑覧』が著された文政(ぶんせい)年間(1818~1830)にはすでに江戸市中にもなかった。熊谷では安便餅ともいい、嫁の里帰りには、姑(しゅうと)が無事息災を知らせる手紙がわりに持たせたという。

[沢 史生

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

貨幣 (名目) 賃金額を消費者物価指数でデフレートしたもので,基準時に比較した賃金の購買力を計測するために用いられる。こうしたとらえ方は,名目賃金の上昇が物価の上昇によって実質的には減価させられている...

実質賃金の用語解説を読む