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里帰り(読み)さとがえり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

里帰り
さとがえり

結婚成立儀礼が終了したのち,嫁が実家に帰ることをいう。日本の里帰りには3つの形態がある。第1は結婚成立祝いの終了後ただちに実家に帰る形態であり,多くはミツメと呼ばれる3日目に行われる。嫁が一人で行く場合もあるが,婿や親,あるいはおじ,おばがついて行くことも多い。第2はバン,ヒイトリなどと呼ばれる定期的な里帰りで,福井県では結婚前に両家が相談して,嫁を婚家に1日,実家に3日おくことにするなどの例がある。第3はセンダクガエリなどと呼ばれる長期的な里帰りで,田植えや稲刈りののち嫁は 20日前後実家に帰る形態である。この里帰りでは,嫁は実家の仕事を手伝ったり,かせぎ仕事をして子供らに着物をこしらえたりする。第1の形態は全国的に行われているが,第2,第3の形態は京都府から山形県にいたる日本海側の村落にしばしばみられる。里帰りは嫁入り婚の儀礼であり,婿入り婚初期における嫁の実家での生活とは形態も意味もまったく異なる。

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デジタル大辞泉の解説

さと‐がえり〔‐がへり〕【里帰り】

[名](スル)
新婦が結婚後初めて実家に帰ること。祝言後の3日目・5日目に行うことが多い。
妻や奉公人などが実家に帰ること。「子供を連れて久しぶりに里帰りする」
外国へ移住した人が故国に帰ること。国外に出ていた品物などが戻ってくることにもいう。「三家族が南米から二〇年目の里帰りをした」「流出文化財が里帰りする」

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世界大百科事典 第2版の解説

さとがえり【里帰り】

婚出した女性が一時的にある期間生家(里方)に戻ることをいう。目的によりその慣習は多様である。(1)ミツメ,ハツアルキ 婚礼後3日目,5日目などに夫をともなって行われる里帰り。たいてい1回限りであるが,これを短期間に幾度も行う地域もある。この際祝宴をもうけ婿と生家の親族との間に親類成りの挨拶がなされる。(2)センタクアルキ 〈センタクに行く〉などといって年に数回,自分や子の衣服の調製修繕をするため長期間里帰りする。

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大辞林 第三版の解説

さとがえり【里帰り】

( 名 ) スル
婦人が結婚後、実家へ帰ること。特に、婚姻習俗の一つとして、祝言後三日目、五日目などに初めて実家へ帰ること。婿を伴うことも多かった。里開き。
里下」に同じ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

里帰り
さとがえり

嫁入り婚において、嫁が一時的に親里に帰ること、とくに結婚式の直後、3日目、5日目などに帰る習俗。初歩き、初通い、里見などという所もある。結婚式直後の場合、新婚夫婦がそろって行くのが通例で、嫁が嫁入りを無事終えたことを報告するとともに、婿が嫁方を初めて訪れ、婿としての挨拶(あいさつ)をするという意味があった。その後も節供、盆、正月、祭り、あるいは田植や稲刈りのあとなどにたびたび里帰りを行う例が少なくなかった。山形県から福井県にわたる各地で、毎晩のようにとか、1日置きにとか、もしくはまとめて3か月ずつ、半年ずつなど、きわめて頻繁に里帰りを繰り返し、または長期間実家にとどまる風がみられた。里帰りしている間はもちろん里の家の仕事を行うわけで、里の側でも嫁に出したあとまでその労働力に期待しようとするありさまであった。
 一方、嫁が里帰りにあたって洗濯や裁縫の品を持ち帰り、それらを済ますまで実家にとどまる場合も多かった。また嫁入りのとき、晴れ着などを実家に残しておき、里帰りのたびに1枚2枚と持ち運ぶという所もあった。これらは嫁入り後も嫁と実家との関係がきわめて緊密であったことを示す習俗であり、それはかつて行われた婿入り婚の遺習だと考えられている。同時に、嫁入り婚では、嫁はそのまま婿方の主婦となることはできず、つねに姑(しゅうとめ)との緊張関係に置かれているので、里帰りはそれを緩和する役割を果たしたことも確かである。[竹田 旦]

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世界大百科事典内の里帰りの言及

【蛇婿入り】より

…これに対して,昔話の方では蛇との婚姻を忌避することが強調され,堕胎(だたい)の習俗や端午(たんご)の節供などと関連させて語られることが多い。 〈水乞型〉の昔話は,干上がった田に水を引いてもらうこととの引きかえに,3人の娘のうちの1人を蛇の嫁にするという約束をし,約束どおり末娘を嫁にやるが,嫁入りの途中,知恵の働く末娘が嫁入道具として持参したヒョウタンと針で蛇を殺す,という内容のものが一般的であるが,蛇のところに嫁入りしたのち出産のために里帰りし,蛇の姿で出産しているのをのぞかれて去るという,豊玉姫(とよたまひめ)説話との交流をうかがわせる内容をもつものもある。この〈水乞型〉とほぼ同じ内容の昔話に〈猿婿入り〉と呼ばれるものがある。…

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