アーブー山(その他表記)Ābū

改訂新版 世界大百科事典 「アーブー山」の意味・わかりやすい解説

アーブー[山]
Ābū

西インド,ラージャスターン州南西部にあるジャイナ教およびヒンドゥー教の聖地。最高峰のグルシカル峰は標高1722mあり,1200mを超える山頂部に町が開け,避暑地としても知られている。山奥のディルワーラーにあるジャイナ教寺院群のうち,ビマラ・バサヒー寺は1031年ダンダナーヤカ・ビマラによって,ルーナ・バサヒー寺は1230年テージャハパーラによって建てられた。すべて白大理石製の両寺は,よく似た構成になり,内側に小祠堂の並ぶ回廊ビマーナ本殿)vimāna,前殿maṇḍapa,玄関ardhamaṇḍapaを囲んでいる。外観は簡素であるが,内部は彫刻装飾によって華麗をきわめる。特に吹放ちの玄関の8本の柱で支えられたドーム天井には,繊細な花模様の彫刻がシャンデリアのように垂れ下がり,技巧の極致を示す。華麗なソーランキーSolaṅkī朝建築の白眉である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアーブー山の言及

【ヒマラヤ[山脈]】より

…ガンガー女神がバギーラタ王の願いによって天界から降下し,カイラーサ山において苦行をしているシバ神の髪の毛にその奔流を支えられて後,いくつかに分かれて地下にまで到達し,サガラ王の王子たちの死灰を浄めて昇天させた〈ガンガーの降下〉という神話も有名である。中部インドのアルブダ山(現在はアーブー山と呼ばれ,ジャイナ教の聖地となっている)は,古くから〈ヒマラヤの息子〉と呼ばれ,ヒマラヤ山神によってこの荒地に降ろされたといわれている。【田中 於菟弥】
【自然】

[範囲,区分]
 ヒマラヤの範囲は,西のインダス川の峡谷から,東のブラフマプトラ川の大屈曲点まで,東西約2400km,南北幅200~300kmに及ぶ。…

※「アーブー山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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