シャンデリア(その他表記)chandelier

翻訳|chandelier

デジタル大辞泉 「シャンデリア」の意味・読み・例文・類語

シャンデリア(chandelier)

洋間天井からつり下げる装飾的な照明器具ガラスなどの台に多く電球を組み合わせたものが多い。

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精選版 日本国語大辞典 「シャンデリア」の意味・読み・例文・類語

シャンデリア

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] chandelier 語源は[フランス語] chandelle (ろうそく) ) 天井からつり下げた装飾的照明器具。一四世紀頃ろうそくを立てる照明器具として発達。木製、金属製を経て、現在はガラスや水晶に多くの飾り電灯を組み合わせたものが多い。
    1. [初出の実例]「中央に釣りあるシャンデリヤ燈は水晶宮もかくやとばかり」(出典:中外商業新報‐明治四一年(1908)二月八日)

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改訂新版 世界大百科事典 「シャンデリア」の意味・わかりやすい解説

シャンデリア
chandelier

照明器具の一種。フランス語ではシャンドリエと読み,chandelle(ろうそく)を立てて使うものという意味であるが,chandelleの語源はラテン語のカンデレcandere(輝く,明るくする)に発しており,キャンディレブラム(多枝灯)やカンテラ(手提灯)と同種の派生語。広くろうそくを立てて使う燭台を意味するが,日本ではシャンデリアが意味するものはそれとは異なり,天井より吊り下げて使う多灯型照明具を指している。

 多灯式吊灯(シャンデリア)の歴史は古く,現存する最古のものではエトルリアの青銅製オイル・ランプ(前4~前3世紀)が知られているが,ローマ時代にはある程度の普及をみせたらしく,数多くの遺品が現存している。ろうそくを立てる形式のシャンデリアは,おそらくろうそくの始まりとともに始まったと思われるが,現存の例では,ストックホルム国立博物館所蔵の青銅のものやミュンヘンのアルテ・ピナコテーク所蔵の鹿角製のものなど14~15世紀のものが多い。16世紀に入ると,寺院や宮殿で一般的に使われる照明器具となり,素材も金属製のほか木製,ガラス製,陶磁製など,豪華な装飾を施したものが流行した。

 シャンデリアの使用は,広い室内を照明することが目的であったから,建造物の中心的な場所に使われることが多い。そのために装飾効果が重要な機能として与えられることになり,形式はだんだんと美化され,すぐれた造形のものが作られるようになった。イタリアピサ大聖堂の〈ガリレイのシャンデリア〉(1584)と呼ばれる青銅彫刻製のものやベルサイユ宮殿の水晶製のもの,イタリアのムラノ島で製作された同島のガラス美術館所蔵の華麗な色ガラス製のもの(ベネチア・ガラス)などは,その代表的な例である。

 日本でのシャンデリアの使用は,天井の高い洋風建築の導入とともに始まり,初めはキリスト教会などの建物に使用されたが,一般化してきたのは洋風建築が多く建てられるようになった明治初期からであった。官公庁の建物のホールや鹿鳴館のホールを飾ったものはその典型例であった。現存するものでは,旧赤坂離宮(現,迎賓館)の舞踏室のものが代表的である。シャンデリアは,当初は鎖などで上下できるように吊っていたが,重量化が進み,また電灯を使用するようになってから,天井に取りつけたままの形式に変わってきた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャンデリア」の意味・わかりやすい解説

シャンデリア
しゃんでりあ
chandelier

室内照明器具の一形式で、多灯式の吊下(つりさ)げ灯をさす。語源は、古代の吊り灯を意味するラテン語candelabrumである。今日では一般に、装飾性の強い、分岐式の多灯天井灯に用いられる。

[友部 直]

歴史

シャンデリアの祖形としては、複数のオイル・ランプを木枠などに固定して吊り下げた形式が想定されるが、遺例は現存しない。ヘレニズム時代に、照明器具が室内装飾としても重視されるようになり、装飾的な吊り灯形式の照明が発達した。ポンペイ出土の照明器具のなかには、架台に吊って用いられたブロンズ製のさまざまな形式のものがあり、後世のシャンデリアへの発展の一段階を示す。ローマ時代から中世にかけては、土製、ガラス製のランプを吊り下げることも広く行われた。中世には、オイル・ランプに加えてろうそくも普及し、シャンデリアの形式にも重要な影響を与えた。とくに16世紀以降、世俗的な君主や富裕な市民たちは、宮殿や邸宅の広間を豪華なシャンデリアで飾った。この傾向は、18世紀フランスのロココ様式においてその頂点に達し、芸術的にもきわめて優れたものが生まれた。

 当時もっとも高く評価されたものはベネチア産のガラス製シャンデリアであり、各国の宮廷は競ってこれを用いた。透明ガラスのドロップ(垂れ飾り)を活用し、光の反射と屈折による壮麗な空間を演出している。また、ドイツのマイセンやイタリアのカポ・デ・モンテなど高級磁器の製作地は、磁器製シャンデリアの生産にも進出し、名声を得た。19世紀以降、電灯が導入されたが、シャンデリアの基本形式はさして変わらず、とくに劇場、ホテル、宴会場など、娯楽性や趣味性の強い大空間の照明に大きな役割を果たしている。

[友部 直]

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百科事典マイペディア 「シャンデリア」の意味・わかりやすい解説

シャンデリア

本来はフランス語のchandelle(蝋燭(ろうそく))に由来する蝋燭立の総称。蝋燭用のものは14世紀ごろに始まり,17―18世紀ごろから美術的に意匠され,舞踏室などに欠かせぬ装飾照明具となった。現在では天井からつるした装飾的な集合灯をいい,白熱電球を使用する。
→関連項目燭台

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャンデリア」の意味・わかりやすい解説

シャンデリア
chandelier

装飾を施した豪華な集合灯。天井からつるして用いる。発生はヨーロッパ中世に用いられたろうそく立てで,宮廷文化の発達などに伴い,次第に美術的な意匠が施されるようになった。後世にはろうそくに代って電灯が用いられ,木,金属,ガラスなどを用いて趣向を凝らした装飾が施されている。広間などの照明には必須とされているほか,一般用にも簡易なものが用いられている。

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リフォーム用語集 「シャンデリア」の解説

シャンデリア

灯火を支持するための2本以上の腕木を有し、天井からつり下げられた照明器具。他の天井吊り下げ式照明器具より非常に重たいため、通常は天井から鎖などで懸架するか、あらかじめ天井に設置されている引掛シーリング・ローゼットに直接取り付ける。

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デジタル大辞泉プラス 「シャンデリア」の解説

シャンデリア

オーストラリアの女性シンガーソングライター、シーアの曲。2014年発売のアルバム「1000 フォームズ・オブ・フィアー」収録曲。原題《Chandelier》。

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「シャンデリア」の解説

シャンデリア【chandelier〈フランス〉】

洋室の天井から吊るす装飾の付いた照明器具。ろうそく形のシャンデリア電球を用いるものが多い。◇「ろうそくを立てて使うもの」という意。

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世界大百科事典(旧版)内のシャンデリアの言及

【燭台】より

…なお手持ちの燭台を手燭(てしよく)といい,銅製のものが多く作られた。【岡田 譲】
[西洋]
 英語でキャンドルスティックcandlestick,フランス語でシャンドリエchandelierという。厳密にはキャンドルスティックはろうそく1本立てのものをいい,それ以上の大型のものはキャンディレブラムcandelabrumとよばれている。…

【燭台】より

…ただし後者はろうそく用に限らず,灯油ランプ用のものに対しても用いられる。また,イギリスでは天井からつるす大型の灯器をシャンデリアといい,この語もろうそく用に限らず,ガス,電灯用のものについても用いられる。17~18世紀に盛んであった壁面に取り付けるブラケット形燭台はスコンスsconceとよばれる。…

※「シャンデリア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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