ビマーナ(その他表記)vimāna

改訂新版 世界大百科事典 「ビマーナ」の意味・わかりやすい解説

ビマーナ
vimāna

サンスクリットで〈神を乗せる車〉の意味から,インド寺院建築の本殿を指すようになった。ベンガルやオリッサ地方では〈デウルdeul〉とも呼ぶ。その中心の主尊の祠堂ガルバ・グリハgarbha-gṛha(〈胎の部屋〉の意)といい,通例東面し,正面にのみ入口がある。ガルバ・グリハを巡ってプラダクシナー・パタpradakṣiṇā-paṭha(繞道(にようどう))が設けられることが多い。ビマーナの前方に接して,あるいは独立にマンダパmaṇḍapa(前殿)が建つ。
シカラ
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビマーナ」の意味・わかりやすい解説

ビマーナ
vimāna

インドのヒンドゥー教ジャイナ教の寺院における本殿をいう。多くの寺院では,前方にマンダパ (拝殿) その他の施設が接続する。一般にビマーナは基壇の上に建つ堅固な石造建築で,内部にガルバグリハ (本尊を安置する室,神祠) を備え,正面に扉口を付している。北インドの寺院ではガルバグリハの屋上に砲弾状のシカラ (高塔) がそびえる。南インドの寺院では屋根が重層してピラミッド状を呈し,その上に建つシカラは比較的小さい。なお,ビマーナはこうした上部構造だけをさし,逆に本殿全体をガルバグリハと呼ぶこともある。

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百科事典マイペディア 「ビマーナ」の意味・わかりやすい解説

ビマーナ

サンスクリットで神の乗る車を意味し,転じてインド中世のジャイナ教ヒンドゥー教寺院建築における本殿背後にそびえる高塔をいう。様式は地方的に北・南・中間型に分類される。

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世界大百科事典(旧版)内のビマーナの言及

【インド美術】より

…グプタ後期以降のインド建築は,大別して北型,南型,中間(南西)型に分けられる。北型はインド北半の広い地域に分布し,本殿(ビマーナ)の屋根が砲弾形の高い尖塔を形成し,カジュラーホやブバネーシュワルの諸寺がその代表である。南型の本殿の屋根はピラミッド状で,時代が下るとともに本殿よりも楼門(ゴープラム)を高くする傾向が強い。…

※「ビマーナ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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