改訂新版 世界大百科事典 「イサベル様式」の意味・わかりやすい解説
イサベル様式 (イサベルようしき)
スペインのカスティリャ女王イサベル1世にちなむ,スペイン後期ゴシックの様式名。主に15世紀末から16世紀初頭の建築に用いられる。共にアルプス以北の系譜をひくシモン・デ・コロニアSimon de Coloniaとフアン・グアスJuan Guasによって確立され,バリャドリードのサン・グレゴリオ学堂やサン・パブロ教会ファサードにみられるように,北方ゴシックとムデーハルの様式との融合様式で,過剰装飾を特徴とする。イサベルの夫でアラゴン王のフェルナンドも加え〈カトリック両王様式〉ともいう。このゴシック末期の幻想的な過剰装飾傾向は,ルネサンス初期においてプラテレスコ様式に継承されていく。
執筆者:神吉 敬三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報