イスラム・ガラス(英語表記)Islamic glass

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イスラム・ガラス」の意味・わかりやすい解説

イスラム・ガラス
Islamic glass

西アジアを中心とするイスラム文化圏で作られたガラス器の総称。その地域は広大で,7~19世紀に中央アジア,インド,アフガニスタンから,西はイベリア半島に及ぶ。その中心地は西アジアのイランイラクシリアトルコエジプト,中央アジアのサマルカンドタシケントなどで,最盛期は8~16世紀頃。とりわけエジプトのアレクサンドリア,シリアのダマスカスアレッポは 10~15世紀にその中心地となり,高度のガラス工芸が栄えた。また 16~19世紀にはイランのシーラーズやインドのデリーなどで盛んになり,トルコのイスタンブールでも作られるようになった。ガラス器は日常食器,ランプ,医療・理化学器具,装飾品など多種多様で,カット,エナメル彩色,鍍金が装飾技法の中心であるが,宙吹き仕上げに溶着装飾を施したものも多い。なかでもエナメル彩色に最も大きな特色が発揮されている。

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