改訂新版 世界大百科事典 「イソガワラ」の意味・わかりやすい解説
イソガワラ (磯瓦)
tar spot
Ralfsia
潮間帯の岩上にみられる小型の褐藻イソガワラ科の1属の名称。岩上に円形の斑点模様をつくり,へばりつくようにして生育する種類が多い(例えば,イソハンモン)が,この属の基本種イソガワラのように殻状部が瓦を重ねたように幾重にもなって,全体として八重咲きの花のような形のものもある。いずれの種類も体は匍匐(ほふく)する組織と直上する組織からなり,組織をつくる細胞は1個の核と1個の板状の褐色の葉緑体をもつ。天然では配偶体と胞子体とがみられ,生活史は同型世代交代である。以前この属に分類されていた種類のいくつかは,褐藻カヤモノリやセイヨウハバノリの無性世代の胞子体であることが培養実験で明らかにされている。世界各地に分布する。
執筆者:千原 光雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報