化学辞典 第2版 「イノシトールトリス」の解説
イノシトールトリス(リン酸二水素)
イノシトールトリスリンサンニスイソ
D-myo-inositol 1,4,5-tris(dihydrogenphosphate)
C6H15O15P3(414).イノシトールトリス(リン酸)ともいう.InsP3またはIP3と略記される.細胞内 Ca2+ シグナル系を活性化するセカンドメッセンジャーで,細胞膜のリン脂質から合成される.ホルモン刺激が受容体からGタンパク質を経てホスホリパーゼC-β(PLC)に伝わるとPLCは活性化され,イノシトールリン脂質の一種に作用してイノシトールトリス(リン酸二水素)を切り出す.IP3は小胞体上の受容体と結合し,小胞体内に蓄えられていた Ca2+ を細胞内に遊離させ,Ca2+ 依存性の反応を進行させる.IP3受容体の実体はリガンド(IP3)依存性の Ca2+ チャネルである.[CAS 85166-31-0]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報