日本大百科全書(ニッポニカ) 「イラワディ・デルタ」の意味・わかりやすい解説
イラワディ・デルタ
いらわでぃでるた
Irrawaddy Delta
ミャンマー(ビルマ)南部、イラワディ川下流の大デルタ。ミヤナウンを頂点として南北290キロメートル、東西240キロメートルの三角形の平野で、南はアンダマン海に面する。東部のヤンゴン川に沿う平野および丘陵に長く首都として政治、経済、文化の中心となってきたヤンゴン(ラングーン)がある。平野の頂点よりモウビンまでは自然堤防で後背湿地地帯が広がり、その下流はデルタ、海岸はマングローブなどの大森林。自然堤防は森林、集落、果樹園で、後背湿地は水田が広がる。降水量が多くラブッタでは年間3250ミリメートルに達する。米が国際商品化された百数十年前以来、水田が発達しミャンマー最大の米作地帯となっている。水防は輪中(わじゅう)方式で行われる。
[大矢雅彦]