日本大百科全書(ニッポニカ) 「インディア紙」の意味・わかりやすい解説
インディア紙
いんでぃあし
India paper
聖書や辞書などの印刷に好んで用いられる薄手の洋紙の一種。バイブルペーパーともいう。東洋ことに中国の唐紙(とうし)や画牋紙(がせんし)のような上質紙を模して、初めイギリスで抄造され、インディア・オックスフォードペーパーとも称したところからこの名がある。膨大な枚数を必要とする携帯用の辞書や聖書の印刷を可能とするため、紙質は通常印刷紙の約2分の1程度の坪量(1平方メートル当り20~30グラム)で軽く、不透明で、強度が大きく、地合(じあい)が均一で、印刷インキの吸収がよいことが要求される。そのためかつては亜麻パルプなどの麻パルプや綿パルプを主原料とし、これに大量の填料(てんりょう)を配合し抄造してきたが、最近では木材パルプでも強度の大きい晒(さらし)クラフトパルプが大量に出回るようになったので、晒パルプが主原料として使われる。日本では1923年(大正12)に国産化した。
[御田昭雄 2016年4月18日]